第90話

【yj】ライバル
1,202
2023/08/25 10:23

「ちゅに〜!!」


🦊「転ぶから走るなよ〜」




唯一の同い年で、たまに兄妹みたいなんて言われる俺達。

実はデビュー前はギスギスした関係だった。


練習生の頃からダンスがずば抜けて上手かったあなた。魅せ方が誰よりも綺麗で見ていて飽きない。

女だからとは言え、そんなあなたに負けたくなくて俺も人一倍努力した。もちろんあなたも。




『ヨンジュナまた1位か、凄いな〜』


🦊「ひひ、まーね」


「………っ」





月末評価の結果はいつも俺が1位で、あなたが2位。そんなライバル的存在であまり仲良く接することは無かった。




『このメンバーでデビューしてもらう』


「え?」


🦊「はい?」





デビュー組でまさかのあなたと一緒のグループだと知って、これからの為にもこの関係はどうにかしないとと思った。

練習室に戻った時、シューズの紐を結んでいる彼女に声をかけた。





🦊「あ、のさ」


「……!デビュー組、おめでとう!!」


🦊「ぇ、ありがとう、君もね?」


「あ、そっか、ひひ」




なんだか抜けていて、あのダンスから思い浮かぶような子では無かった。笑うと可愛らしくて全然いい子だ。





「えっと……ヨンジュンくん…だよね?」


🦊「え?そ、そうだけど、知ってるの?」


「いつも1位だったもん!伝説の練習生がグループにいるってすごいじゃん!」


🦊「いや、あなたちゃんも十分すごいよ」





ひひ、と笑うあなたちゃん。
でもやっぱりまだ不安そうな顔をしていて、心を開いてくれていないみたい。





「あ、のね、ずっとデビューにすることに必死で話しかけれなかったんだけど、ごめんね」





眉を下げてそ申し訳なさそうに言うから、あぁこの子は本当にいい子なんだなって思った。

もっと前から俺が話しかけてれば変な気遣いをさせなくて済んだのに。





「それでね、ヨンジュンくんにダンス教えて欲しいの、こんなすごい子と同じグループなんてラッキーだから、」


🦊「もちろん。その前にヨンジュンって呼んで?同い年なんだし、ね?」


「うん!!ヨンジュン!ヨンジュナ!」


🦊「ふは、練習室行こうか」






それから仲良くなるのに時間はかからなかった。
毎日のように遅くまで一緒に練習して、デビューに向けて必死だった。






🦊「うわ、懐かしい」


「赤ちゃんみたいちゅに〜笑」


🦊「2人とも幼いな」





練習生だった頃、2人で撮った写真を掘り返す。
辛かったけど今となってはいい思い出ばっかりだ。




🦊「この時さ、あなたが俺と同じグループなんてラッキーって言ってくれたの覚えてる?笑」


「うーん、言ったかも!」


🦊「あなたと出会えた俺はもっとラッキーだね」





何言ってるの〜って笑われたけど、本当の本当にラッキーじゃ表せないくらい。


ラッキーなんかじゃなくて、最初から運命だったのかもね俺達。

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