ねぇ、聞いた?
今年の北スペ、及川先輩出るらしいよ。
なにそれ!知らないっ。
いっつもリレーとか出てないっけ?
そうなんだけどさ、なんか理由があるらしくて。
今1年に、及川先輩の幼馴染がいるらしいんだよね。
あ……もしかしてこの前校門で……。
え、何?なんの話?
いや、実は……(かくかくしかじか)
……なにそれ、付き合ってるってこと??
顔分かるの?
うん、覚えてるけど……。
1年のくせに……。
見に行こ!
・
あなた、部活行こ。
あ、うん!
職員室行ってもいい?日誌届けたい!
さっさと行こうぜ〜。
ほら、国見くんっ。
分かってる。
いつも通り、3人と一緒に教室を出て部活に向かう。
お手伝いにも大分慣れてきたけど……最近困ってることがある。
岩泉!!
ひぇっ、
また来た……!!
いやです!
先に答えるな陸部入れ!
だーかーらー!
いやですってば!
体育祭の練習でグラウンドを走っている際、陸上部の熱血顧問に目を付けられた。
私以外にも早い子はいたはずなのに、影山くんたちと一緒になって走っているところを見て相当速いと勘違いしたみたい。
私陸上とか向いてないです!
やってみないと分からないだろ!
お前速いんだから!
速くないんですってば!!
お前、帰宅部なんて勿体ないぞ!
あぁもういい加減にしてほしい。
私は好きで帰宅部でいるんだっての。
とっ、とにかく……!
陸上部に入る気は無いので
もう勧誘来ないでください!
頑なに断り続けて早2週間。
この人に諦めるという文字はないのかな……。
き、今日のところは引き下がってやる!
俺は諦めんからな!?
頼むから諦めて欲しい。
ようやく先生も戻っていって、一息吐いた。
あなたー、日誌届けてきたぞ。
撒くのに長くかかるのは分かっていたので……というかいつものことなので日誌を代わりに持って行くようお願いした。
3人が戻ってきたのでそちらの方へ駆け寄る。
________ドンッ
っ、!ごめんなさいっ
廊下の窓際で固まっていた3人組の女の子が急に歩き出して、ぶつかってしまった。
すぐに謝ると、私の目をキロッと睨んで鼻を鳴ら
……そっちも悪いのに。
まぁいいや。気にしないでおこう。
________なんでアンタなんかが
……、?
行こ行こっ!
……今の、私に言ったの?
………………
上履きの色からして……2年生。
特に関わりは無いはずだけど。
どうかした?
……ううん。なんでもない。
人違いかな?
どっちにしても、感じ悪い人たち。
なんだか怖いなぁ……。
・
ムッカつく……。ちょっと運動神経いいからってチヤホヤされて。
あれはちょっといい気になってるよね〜。
なに?なんの話?
ねぇ、1年の岩泉あなたって知ってる?
あー……、知ってるけど。岩泉先輩の妹だろ?
え、そうなの?
あー……だから"幼馴染"ってことね。
なんだよ。なんかあったのか?
岩泉先輩の妹なら、手出すの不味くない?
……確かに、あの人おっかないよね。
……?
お前ら、なんだか知らねぇけどあの子はやめといたほうがいいぜ?
なんで?やっぱり岩泉先輩の妹だから?
あぁ……。俺、同じ小学校でさ。
一時期問題になって。
問題?何がよ。
あそこの家族、なんか複雑らしくて。
確か血、繋がって無いんじゃなかったかな。
……え?それってヤバくない?
岩泉先輩と一緒に住んでるんでしょ?
血繋がってないのに。
…………なにそれ。
______" キモチワルイ " ね。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。