切なさや運命を越える為 名前を叫んだ
居場所なら其処にあると 陽だまりに咲いた花
嬉しいときも苦しいときも心が切なくなる時も共に運命を乗り越えて来た。
自分の居場所は揺らぐことなく其処だと疑わなかった。
それは春の陽に向かって咲く花のような人。
寒さを耐え凌ぎ、可憐に咲いた花。
流れる涙に動揺する宮舘を見つめる渡辺は言葉に詰まった。
夜が来る度(いつでも)自分が消えてしまわぬ様に
照らす行き先(結び合って)繋いだ手は解かない…
暗くて長い夜が来る度、自分たちはもうデビュー出来ないようで…
存在を消されてしまわないか不安だった。
SnowManやファンの為に直談判までした宮舘が照らしてくれた道を一生一緒に歩き続けると、その隣には宮舘が当たり前に居るだろうと無意識に渡辺は思い続けていた。
深澤に言われて初めて気付いた宮舘への好意。
それは単なる友達、幼馴染、仲間に向けるものではないと気付いたのはほんの数時間前。
…プツンッ
宮舘の悲しそうな声が耳に響き、手が離れようとした時。
張り詰めた糸が切れるように。
ダムが決壊するように。
泣き顔ではない
"男"の顔をした渡辺が宮舘の手を握り自分のほうへと引き寄せた。
絡まる糸を解いて行く
一人が二人に変わる
心の隙間は 互いが埋めるから
涙の傘になろう…
かけ違えたボタンのように。
絡まりあった糸のように。
お互いがもう、すれ違わないように…
自分の無意識な感情が、ちゃんとした感情へと変わる。
それは1人では決してなれない事で、2人でなれる意味。
心の隙間を宮舘が当たり前に埋めてくれたように、渡辺も宮館の心の隙間を埋めていた。
土砂降りの悲しみはもうお終い…。
渡辺は宮館を抱きしめながら、
宮館だけが聞ける優しいトーンで呟く
ふんわり笑い掛ける渡辺に宮館は静かに涙を流した…
恋慕う 願い 風に揺れて
この想いが零れぬ様に
渡辺の告白に宮館は驚きと嬉しさが溢れた。
翔太を慕い、想う事、願う事は伝えてはいけない…
そう思っていたのに…
愛し想い 導いて
今 何処へ行こう
想いを零れぬ様、優しく掬って導いてくれたのはやっぱり…
"翔太なんだ"
"涼太なんだ"
見つめ合って笑顔になった宮舘と渡辺。
もう2度と隠すことのない気持ちを持って
今、何処に行こうか?
永遠の愛と引き換えに
全てを投げ出してもいいから
二人で綴る物語(ストーリー)…
手を繋ぎ、皆の待つ場所へ…
これから先、何があってもこの手は離さない。
さぁ、行こう。
俺たちの新たな物語を綴りに…
(Fin)
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。