第20話

#18
521
2024/04/17 21:57
紡いだ想いの行く先は

一緒がいいに決まってる

貴方を想って鳴く胸の音は

幸せの音であって欲しい









渡辺
なぁ
宮舘
ん?
渡辺
桜、もう少し2人で見ない?
宮舘
…うん
繋がれた手を見てくすぐったい気持ちになる。
ひた隠しにしていた想いが開放され、素直になれる喜びと、本当にこの幸せが本物だろうかと未だに疑い、躊躇う宮舘の心。
渡辺
はい
宮舘
なに…?
手のひらに落とされたのは桜の花びら。
渡辺
涼太の髪についた時に凄い似合うって思った
宮舘
ありがとう
思わず顔が熱くなる。

こんなささやかな事で、こんなにも幸せに感じるなんて…
飛んでいかないように、潰れないように…
宮舘はそっと花びらを包んだ。
見上げれば桜が美しく、

隣を見れば穏やかな表情の渡辺。
春の夜風はまだまだ冷たいが、繋いだ手の温度がそれを感じさせない。
宮舘
来れて良かった…
渡辺
ん?
はにかみながら宮舘はもう一度、言葉を発した。
宮舘
翔太と来れて良かった
その瞬間、やわらかい風が2人の間を通り抜けた。
渡辺
…俺も同じ。
涼太と来れて本当によかった…
トクンッ…


満開の桜と笑顔の宮舘を見つめると鼓動が高鳴った。
花が咲いたような笑顔って。
多分こういう顔のことなんかな…?
知っているようで知らなかった表情。

月明かりと桜のライトアップで普段の雰囲気とは違う宮舘を改めて見た気がした渡辺であった…
思わず頬に触れると不思議そうな顔する。
宮舘
翔太?
渡辺
なんで…
宮舘
え?なに?
なんで今まで気づかなかったんだろう…
渡辺
…めっちゃ好き
無自覚だった自分の過去に戻れるなら今すぐ戻りたいと願う渡辺であった…
宮舘
俺もめっちゃ好き

トクンッ…



渡辺
っ…
再胸が高鳴った。

痛くて甘い感覚。

渡辺
絶対に幸せにする
宮舘
もう十分、幸せだよ?
渡辺
んーん。
全然足りない…
もっともっと幸せになるって決めた
宮舘
ありがとう。
俺も翔太ともっと幸せを共有したいって思ってるからね?
…ずっと大好きだっだんだから

トクンッ…

あー…これはグッと来るわ…

思わず渡辺は宮舘の腰に手を回して自分の方へ引き寄せた。
宮舘
わっ
渡辺
あー…ダメ…
ちょっとだけこうさせて?
宮舘
う、うん…
昂る気持ちが引くまで…
渡辺
…俺からの愛、重いかもよ?
渡辺がポスっと肩に頭をくっつけると、宮舘は無言で背中に手を回した。
宮舘
…上等。
重さで言ったら俺のほうが凄いよ?
何年、自覚して君に恋してると思ってんの?
宮舘は表情の見えない恋人渡辺にクスクス笑いながら背中越しに咲く桜を堪能することにした。

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