昔は優等生を演じていた
周りの理想の姿になれるように
今なんて立ち入り禁止の屋上でタバコを吸いながら空を見ている
そりゃあ最初は怒られたよ
でもどうしようもないって思われたら何も言われなくなった
俺が優等生を演じなくなったきっかけは全て大人たちのせいだ
だって馬鹿だって思ったんだ
これが上手に生きるということなのか。
自分を押し殺して笑い続けて、
それでもいつかは爆発する感情を抱いて
人知れず涙を流すのがいい生き方?
ふざけるな
おはようって笑顔で言えない日があったっていいじゃないか
それすらもダメですか
いつだったか、先生に相談したことがあった
『今は苦しくても、いつか報われる日が来る』
って綺麗事が大好きな大人はみんなそう言うけど
じゃあその『いつか』が一生訪れないものだとしたら?
責任取ってよ
無責任な事言わないでよ
俺はあなたたちの事を信じてここまでやって来たのに
大嫌いだ
人の苦しみと自分の苦しみを比べる奴が嫌いだ。
生きていればいつか幸せになれるなんて綺麗事が嫌いだ。
死にたいなんて言っちゃ駄目と諭す大人が嫌いだ。
口先だけの言葉が嫌いだ。
思ってもいない『大丈夫?』が嫌いだ。
嫌いだ、嫌いだ、大嫌いだ。
でも、いちばん嫌いなのはどうせ死ぬ勇気もない自分だ。
弱い自分、不器用な自分、上手に生きられない自分、そんな自分が大嫌いだ。
もっと強くなりたかった。
もっと器用に、上手に生きたかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。