すちside
いつからかは分からない
予防接種や採血がすごく嫌で仕方なかった
転んで血が出たり、包丁で血が出たりしただけでパニックになってしまう
今はメンバーの皆でシェアハウスをしているけど、料理出来る人がいなくて俺がしている
血が出ないように細心の注意をはらって料理をしているから少し疲れるんだよな
いつものように料理を作ろうとしていた時、珍しくこさめちゃんが来て言った
しっかり見ていれば怪我することはないと思うし、大丈夫かな
久しぶりに楽しく料理を作っていた時
さっきまで絶対に触らせなかった包丁にこさめちゃんが触れてしまった
切っていない物があってやってくれようとしたんだろう
それでも俺が止めようとした時
こさめちゃんの指から流れる血が目に入ってしまった
こさめside
なれない包丁を使ったから手を怪我しちゃった
少しヒリヒリするけど大怪我じゃないし良かったと思ってすちくんの方を見ると酷く顔色が悪い
突然過呼吸になったすちくん
落ち着かせるために手をのばすともっと酷くなっている気がする
呼吸を落ち着かせるためにやり方を教えてるけど変わらない
突然こっちに倒れてきたすちくんは意識がなかった
すぐにベットに連れていきたいけど
こさめひとりじゃすちくんを運べないからみんなを呼ぶ
暇72side
いるまと2人で部屋でゲームをしている時
こさめの声が聞こえた
いるまと顔を見合わせて急いで下に降りると
すちが倒れていた
こさめも酷く取り乱しているからとりあえずすちをいるまに任せてこさめの話を聞く
いるまside
すちの顔は青白くて、どうしようもなく不安になる
抱えてベットに下ろすと少し不規則だけど呼吸をしていることに安心する
しばらく様子を見ているとなつが入ってきた
無言ですちを見ていると、下が騒がしくなってきた
らんside
みことと2人で出かけていた時、こさめから連絡が来た
すちが過呼吸になって倒れたらしい
急いで2人で帰ると2階にのぼっていった
1回深呼吸をして落ち着いてからすちを見る
こんなに隈酷かったか?
痩せてるし…
そう思っているとすちが動いた
ゆっくりとしていると思ったら急に飛び起きてきてびっくりした
安心したような顔をするすち
全然良くないけどな?
嘘ついてるな
目が泳いでるもん
なんだ怒らないって?
言うだけなんだから怒らないし…
言わなかったのは説教しないとだけど
あっ!もしかして…
そういえば見かけないな
そう言って立とうとするすちをみんなでおさえる
そう言って部屋から出てもみんなの声が聞こえる
この隣の部屋がこさめの部屋
ノックして開けるとこさめがいた
こさめside
隣の部屋から聞こえる声
すちくんが過呼吸になった理由
こさめのせいだった
こさめが包丁で怪我しなければ、
そもそも料理を作るって言わなければ、
こんなことにはならなかったかもしれないのに
そう考えていると扉が開いた
合わせる顔がなくて下を向いてしまう
すちくんの部屋に入るとみんながいた
すちくんは顔が青白いけど優しい笑顔は変わっていない
話せなくて黙っているとすちくんの優しい声が聞こえた
そう言って渡してきたのは水色の絆創膏だった
すちくんの優しさに涙が出てくる
でも…と思ってしまう
そもそもちゃんと気づけていたら…
後悔が頭の中を埋めつくした時
すちくんがこさめに顔を近づけてきた
すちくんはいつも自分の事を後回しにするんだ
自分のことには鈍感なくせに人の痛みにはすぐに気がつく
そんなすちくんが大好きで、でも怖い
何かあった時こうやって隠されてしまうから
すちくんのびっくりしたような顔が見える
すちside
こさめちゃんの顔を見た時自分の事を責めたような顔をしていた
ただ俺が言わなかったのが悪いのに
俺はこさめちゃんの明るい笑顔が大好きなのに
それを伝えたくて、口を開いた
そういった後こさめちゃんが顔を上げて声を出した
こさめちゃん、心配してたのか
言えない俺の事を考えてくれたのか
もっと早く言えてたら何か変わってたかな…
でも言えたからもういいんだ
約束、できるかな?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。