第28話

血液恐怖症
338
2024/04/10 04:09
すちside
いつからかは分からない

予防接種や採血がすごく嫌で仕方なかった

転んで血が出たり、包丁で血が出たりしただけでパニックになってしまう

今はメンバーの皆でシェアハウスをしているけど、料理出来る人がいなくて俺がしている

血が出ないように細心の注意をはらって料理をしているから少し疲れるんだよな

いつものように料理を作ろうとしていた時、珍しくこさめちゃんが来て言った
こさめ
こさめも一緒にご飯作ってみてもいい?
しっかり見ていれば怪我することはないと思うし、大丈夫かな
すち
いいよ〜一緒にやろうかニコッ















久しぶりに楽しく料理を作っていた時

さっきまで絶対に触らせなかった包丁にこさめちゃんが触れてしまった

切っていない物があってやってくれようとしたんだろう

それでも俺が止めようとした時
こさめ
いたッ゛
こさめちゃんの指から流れる血が目に入ってしまった
こさめside
なれない包丁を使ったから手を怪我しちゃった

少しヒリヒリするけど大怪我じゃないし良かったと思ってすちくんの方を見ると酷く顔色が悪い
こさめ
すちくん?大丈夫?
すち
ッやだッヒューヒューゴホッゴホッヒューヒューッ
突然過呼吸になったすちくん

落ち着かせるために手をのばすともっと酷くなっている気がする

呼吸を落ち着かせるためにやり方を教えてるけど変わらない
こさめ
息吸って…吐いてってすちくん!?
突然こっちに倒れてきたすちくんは意識がなかった

すぐにベットに連れていきたいけど

こさめひとりじゃすちくんを運べないからみんなを呼ぶ
こさめ
みんなッ早く来て!
暇72side
こさめ
みんなッ早く来て!
いるまと2人で部屋でゲームをしている時

こさめの声が聞こえた

いるまと顔を見合わせて急いで下に降りると

すちが倒れていた
こさめ
なつくんッすちくんがッどうしよう…
こさめも酷く取り乱しているからとりあえずすちをいるまに任せてこさめの話を聞く
暇72
落ち着けって!
どうしたんだよ?
こさめ
わかんない…急に過呼吸になって…それでッどうしよう…わかんないよ
暇72
とりあえずみこととらんに連絡しといてくれねぇか?俺、すちの様子見てくるわ
こさめ
わかった!
いるまside
すちの顔は青白くて、どうしようもなく不安になる

抱えてベットに下ろすと少し不規則だけど呼吸をしていることに安心する

しばらく様子を見ているとなつが入ってきた
暇72
すちどうだ?
いるま
まだ起きねぇな…
暇72
こさめにみこととらんに伝えるの頼んだけど、すちの過呼吸の原因分からなかったわ
いるま
まぁ、起きたら聞くしかないよな
無言ですちを見ていると、下が騒がしくなってきた
らんside
みことと2人で出かけていた時、こさめから連絡が来た

すちが過呼吸になって倒れたらしい

急いで2人で帰ると2階にのぼっていった
みこと
すちくん!
らん
大丈夫!?
暇72
落ち着けよ!
いるま
うるせぇよお前ら!
すちが起きるだろうが!
1回深呼吸をして落ち着いてからすちを見る

こんなに隈酷かったか?

痩せてるし…

そう思っているとすちが動いた
すち
ん〜、ここどこ?
すち
あっこさめちゃん!
ゆっくりとしていると思ったら急に飛び起きてきてびっくりした
らん
びっくりした…こさめは大丈夫だよ?
すち
そっか…良かった…
安心したような顔をするすち

全然良くないけどな?
みこと
なんで過呼吸になったん?
すち
…いや?なってないけど…
嘘ついてるな

目が泳いでるもん
いるま
嘘つくなよ
こさめから聞いてるぞ?
すち
…怒らない?
なんだ怒らないって?

言うだけなんだから怒らないし…

言わなかったのは説教しないとだけど
暇72
怒らねぇから言ってみろよ
すち
実は…俺、血が怖いんだよねぇ
みこと
どういうことなん?
すち
なんか…怪我すると血が出るでしょ?
それでパニックになっちゃうみたいな…
あっ!もしかして…
らん
それ、料理のために言わなかったんでしょ?!
すち
だってぇ…みんな料理出来ないし俺がしなきゃと思って…
暇72
そんなもん俺たちだって練習するし!
言えよ!
みこと
だから最近疲れたような顔しとったんか
すち
うぅ…怒らないって言ったじゃん…
いるま
言わなかったお前が悪いからな…
すち
ん?あれ?こさめちゃんは?
そういえば見かけないな
すち
俺ちょっと探してくるよ
そう言って立とうとするすちをみんなでおさえる
らん
俺が行ってくるから座っといて!
そう言って部屋から出てもみんなの声が聞こえる
いるま
さっき倒れたくせに立とうとすんな!
すち
えぇ…大丈夫だよぉ…
暇72
もうお前の大丈夫は信用しねぇから!
みこと
みんな…落ち着いてよ
この隣の部屋がこさめの部屋

ノックして開けるとこさめがいた
こさめside
隣の部屋から聞こえる声

すちくんが過呼吸になった理由

こさめのせいだった

こさめが包丁で怪我しなければ、

そもそも料理を作るって言わなければ、

こんなことにはならなかったかもしれないのに



そう考えていると扉が開いた

合わせる顔がなくて下を向いてしまう
らん
こさめ
らん
すちが呼んでるから行こ?
こさめ
うん…
すちくんの部屋に入るとみんながいた

すちくんは顔が青白いけど優しい笑顔は変わっていない

話せなくて黙っているとすちくんの優しい声が聞こえた
すち
こさめちゃん
すち
大丈夫?
さっき怪我してたよね?
これ貼っときな!
そう言って渡してきたのは水色の絆創膏だった
すち
大怪我じゃなくて良かったねぇ〜
すちくんの優しさに涙が出てくる
こさめ
良くないよ…
ごめんね…ごめんねすちくん
すち
謝らなくていいよ〜
言わなかった俺も悪いし…
いるま
そうだぞ!
こさめがいなかったらずっと気づけないままだったからな
でも…と思ってしまう

そもそもちゃんと気づけていたら…

後悔が頭の中を埋めつくした時

すちくんがこさめに顔を近づけてきた
すち
こさめちゃんは笑顔の方がいいよニコッ
すちくんはいつも自分の事を後回しにするんだ

自分のことには鈍感なくせに人の痛みにはすぐに気がつく

そんなすちくんが大好きで、でも怖い

何かあった時こうやって隠されてしまうから
こさめ
すちくんも…もう、隠さないでよ!
すちくんのびっくりしたような顔が見える
すちside
こさめちゃんの顔を見た時自分の事を責めたような顔をしていた

ただ俺が言わなかったのが悪いのに

俺はこさめちゃんの明るい笑顔が大好きなのに

それを伝えたくて、口を開いた
すち
こさめちゃんは笑顔の方がいいよニコッ
そういった後こさめちゃんが顔を上げて声を出した
こさめ
すちくんも…もう、隠さないでよ!
こさめちゃん、心配してたのか

言えない俺の事を考えてくれたのか

もっと早く言えてたら何か変わってたかな…

でも言えたからもういいんだ
すち
…うん!
約束、できるかな?

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