あァ、たしかあの日の朝ごはんは目玉焼きだったっけ。
あぁ、身体中が痛い。1000年間もずっと、寝ていたからだ。寝ていた?いや、ずっと意識はあった。力はあったが体が動かせず、私はずっと、ここで全てを見ていた。私の城の、地下牢で。
あの路地裏で意識が無くなる前、私は部下に少々呪いをかけた。不死の呪いだ。それのせいで力を使いすぎて復活までに時間はかかったが、どうやらその試みは上手くいったようだ。
あぁ、貧血で頭が痛い。血の巡りが悪いからだ。あぁ、血の巡りが悪いのは……心臓がないからだ。
あー体が痛い痛い。復活したとはいえまだ未熟。関節がボキボキと鳴る。骨が悲鳴をあげている。
あぁ、楽しい。こんな日が、ずっとずっと続けばいい。あと1000年でも、2000年でも。ずっと、ずっと続けばそれでいい。
その場に、ただ魔王様だけがいない。魔王様だけが足りない。もう1000年も経ってしまった。貴方様の声も顔も匂いも忘れてしまった。あぁどうか、最後のピースが埋まりますように。
あぁ、なんだが嫌な予感がする。嫌な予感?いや、なにか変なことが起きる予感。それはいい事でもあるし、悪いことを招きそうな気もする。そんな抽象的な予感が、今は恐ろしくてたまらない。
食堂の扉を開ける。
あー、仕事めんどくさ。
息を呑む。







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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!