あなた sitenn
気がつくと 、私はいつもの定位置に立っていた 。
足元には海のように波打つことの無い水面が広がり 、
辺りは不気味に暗闇がかっとる 。
「 ここはうちの夢の中なんや 。 」
そう 、何度も感じてきた 。
ふと 、下に向けていた視界の中に 、赤黒い液体が滲む 。
ベチャッという嫌な音と共に 、見覚えのある日輪刀を握りしめた手が目の前に落ちる 。
違う 、
これは夢や 。
あの人は死んだ 。
こんなところに出てくるわけがあらへん 。
ドクドクと心臓の音が大きくなり鼓動が速くなる 。
大粒の汗がダラダラと頬を伝い 、ぴちゃんと赤黒い液体の上に落ちた 。
見たくもないのに 、勝手に視線がそちらへ進んでしまう 。
必死に力を込めてみるも 、無意味やった 。
視界には 、嫌というほど強調されるかのように 、
全身血まみれで息絶えた 、かつての炎柱が映り込む 。
そして 、その後ろにも沢山の屍が視界に飛び込んだ 。
炭治郎 、 善逸 、 伊之助 、 カナヲ 、 アオイ 、 千寿郎 くん 、 玄弥 、 蜜璃 ちゃん 、 しのぶ ちゃん 、 カナエ ちゃん 、 富岡 さん 、 悲鳴嶼 さん 、 無一郎 、 伊黒 さん 、 宇髄 さん 、御館様 …
みんな焦点の合わない真っ黒な瞳で 、私の方をじっと見ている 。
怖かった 。
私が無限城でしくったせいで 、みんなが死んでしまったのではないかと思ってしまうから 。
喉から生暖かいものが込み上げてくる感覚がして 、思わず口を手で抑えようとする 。
やけど 、視界に映った自分の手が 、真っ赤に染まってるのを見てしまった 。
心臓の鼓動が更に早くなり 、顔から血の気が引く 。
その時 、私の足を誰かが掴んだ 。
そちらに視線を向けると 、下半身と左腕がない父上がこちらを覗いていた 。
ヒュッ 、と悲鳴のような声が喉から漏れる 。
父上は 、ボロボロと涙を零しながらそう呟いた 。
目を瞑ってしまった父上に 、震える声でそう言う 。
不意に 、感情のこもってないドス黒い声が背後から突き刺してきた 。
反射的に振り返ると 、そこには憎き相手が立っている 。
なんでこいつがここにおるんや?
いつもは出てこぉへんはずのバケモンやぞ 。
暴走しそうな拳をグッと握りしめる 。
鬼舞辻 はそう言うと 、不気味な笑みを浮かべた 。
やめてよ…
そうなってしまうかもしれへんことくらい 、私だって知っとんねん 。
怖いんや 、
己の手で仲間を殺めてまうっちゅうことが 。
……それと同じくらい 、
あいつらに 、
失望されて突き放されてまうのが 、
___怖いんや…
カフカ の大声で目が覚め 、思わず反射的に自分の手を見る 。
手に赤黒い液体がついておらず 、ホッと胸を撫で下ろす 。
せやけど 、なんで カフカ は私の目の前に……
カフカ にそんなことを言われ 、辺りを見渡してみる 。
…あぁ 、せやった 、変に気ぃ張っとったから眠れへんくて屋上に来たんやったわ 。
しかも 、そのまま寝てもうたんか……
自分の不甲斐なさに 、思わず頭を抱える 。
私がそうボソッと言うと 、 カフカ はバツが悪そうに肩をすくめた 。
落ち着かないかのようにオロオロする カフカ を見て 、「 ハハッ 、 」と乾いた笑いを漏らす 。
そんな私を見て少し安心したのか 、 カフカ は隣りに腰をおろして躊躇いがちに言った 。
…ほんまに 、正夢になって欲しくないなぁ 。
そう 、強く思った直後___…
空から隕石のようなナニカが 、立川基地に降り注いだ 。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。