胸ぐらを掴んでいる手に、ギリギリと力が入る。
初めは余裕の表情を浮かべていたイオリも
段々苛立ちを見せ始めた。
「 何が起きているのか知らない 」じゃなくて
「 どうなろうと知らない 」、つまりどうでもいい。
これだけ投げやりって事は
やっぱり情報を流したのはイオリとしか、、
自暴自棄の発言にしか聞こえない。
私に手を出させて告発するつもりだろうな。
だったらこっちも、冷静に返すだけ。
真っ直ぐイオリを見つめて言うと
冷や汗が頬を伝っているくせに
「 なにアホな事言ってるの 」って笑う。
この女はあの後の事を知らないんだろうな。
お前が私の家に火を放ったあの日から
私は殺す事だけを頭に叩き込まれた。
もうあの幸せな家庭は残っていない。
お前の遅い拳なんていくらでも避けられる。
そう思って立っていると
突然目の前に黒い影ができた。
ボコッッ
イオリの必殺パンチを腹に受けたジョンウさんは
さすりながら私の前に立つ。
そして、撮影をした日のように
彼は右手を横に出して
私を庇う動きを見せた。
















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。