───次の日
伊吹と向き合う形で座る浅霧は、顔を上げられずにいた。
担任のその言葉で、あちこちから意見を出し合う声が
聞こえ始める。
事の発端は、授業のペアワーク。
基本、「ペアになって」と言われれば隣同士でなるものだが、なんというタイミングか、浅霧の隣と伊吹の隣がどちらも体調不良で欠席だったため、必然的に2人だけは前後でペアとなった。
流れのままに机を向き合わせに動かし、そこから沈黙。伊吹の事が気になるものの、真っ直ぐ正面から向き合う自信がない。
やがて痺れを切らしたのか、伊吹が低い声を発した。
過剰に反応してしまった事に触れられなかったのを良しとし、浅霧は平静を装う。
プリントに視線を向けるフリをして相変わらず下を向いたまま聞けば、逆に聞き返されて言葉を詰まらせる。
意見を口にし、恐る恐る視線を上げると、伊吹は
プリントを見ていた。
その目が自分を写していないというだけで、浅霧は何となく気持ちを休められるような気になった。
𝐧𝐞𝐱𝐭…🧸𓈒 𓏸













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!