side gnmsさん
急いで言葉を返す。
…自分の手に汗が滲んでくる。
この人と話すと、否応なく緊張してしまうのだ。
大きさすら見計れないような巨人と相対させられている
不信感のような感覚。
…焦りと期待が交互に混じって、
苦くて酸っぱい味に変貌していく。
…伝えるつもりだけはあったんですよ、rimrさん。
たった今、その意味が潰えてしまっても。
side rimrさん
スマホの通知を見て、軽く呟く。
gnmsさんから送信されたメッセージには
「今日は研究部で先に待っておりますわね!!」
という元気の良い言葉。
gnmsさんがいないと、とことん駄目人間になれてしまう。
胸の奥底から気持ち悪さが噴き出していく。
それが、溢れかけた時だった。
…メッセージアプリにメッセージが追加された音がなる。
〈 gnmsですわゾ~!!
違和感しかないメッセージが画面に表示される。
唐突に、嫌な予感が吹き荒れる。
もしかしたらふざけていたり、不注意からだったりするのかもしれない。
…希望的観測を並べても並べても並べても、
怖さが付き纏ってくる感覚。
急いでクローゼットを明け放つ。
…極端に種類が少ない洋服たちが並び立てられた
クローゼットから、一着を急いで抜き取る。
服を形だけ着る。
そして、家を飛び出した。
side hn
gnmsさんが言ってからもう30分も経ってるのに…
……gnmsさん迷子になった??
不謹慎なことを考えて、少しだけ不安になる。
ドアに向かって足を動かす。
どん、どんっ大きな音が響き渡ってきたのだ。
音を立てた人物に近付こうと、ドアを開けた瞬間だった。
…見事に声が重なる。
音の大きさだけが不釣り合いに。
gnmsさんは淡く儚く、rimrさんは黒く尊く釣り合っていた。
…“ともだち”のために、私が出来ることは?
考える前に口が動く。
友達に何が起きたかなんて、まだ分からない。
…ただ、頭にかかった靄だけが薄暗かった。
gnmsさんのトラウマは、きっと重すぎるものなんだろう。
rimrさんのトラウマも、重すぎると思う。
…はっきりとは聞いていなくても、気付いてしまう。
…また、考える前に口が動く。
rimrさんに向かって、はっきりとした声が鳴る。
何も分からないまま、失いたくなかった。
























編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。