学校の屋上。
私はそのとき、柵に座って。
いつも通り、空を見て鼻歌を口ずさんでた。
だから、後ろに人がいるなんて気づかなかったの。
ドンッ
突き飛ばされた私の体は勢いよく斜めに傾いた。
ドサッという音と一緒に意識が途切れた。
次、目を覚ましたのは病院だった。
運良く助かった、って。
そこまで良かったの。
いきなりのことだったから、お母さん
すごい泣いちゃって。
目覚めてすぐ、抱きしめられた。
お母さんの言葉で初めて知ったの。
私は飛び降りをしたことになってたって。
本当は誰かに押されて、落とされたのに。
流石にびっくりしたなぁ。
退院して学校に戻ったとき、噂が飛び交ってた。
みんな、好き勝手に噂する。
真実は「後ろから突き落とされた。」。
それが噂によって、
「自殺で飛び降りた。」ってことになった。
誰が噂し始めたのか。
きっと私を押した人だろうな、ってわかってた。
それでも、なにもしなかった。
なにも言わなかった。
確証はなかったし、突き落とした人の顔も見てない。
きっと真実を伝えても、
信じてもらえないなぁ…って。
もし信じてもらえたとして、私を押した人が
殺人未遂の犯人になって別の噂が広まる。
それなら、別に好き勝手言われてもいいと思ったの。
どっちにしろ、私はいつも1人で屋上にいる。
前と何も変わらない。
そう思いながら、屋上で空を眺めてたとき。
私はまどかに会って
世界が変わったみたいだった。
まさか、軽く口ずさんでいた歌を
誰かに聴かれてるなんて思わなかった。
あの日から毎日屋上に集まってたよね。
私にとって、あの時間が1番幸せな時間だったよ。
噂話は日に日にエスカートしていった。
教室や廊下にいれば、噂話や嫌がらせ。
家にいれば、あの事件以降ずっと腫れ物扱い。
屋上が唯一の居場所だった。
まどかが言った噂話はこの後。
……まどかなら、覚えてる…よね。
ある日の休み時間終わり。
屋上から教室に戻るとき、廊下での噂話。
いつもの平和で幸せな会話。
それすら、噂話に壊されるなんて
思わなかったなぁ…












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。