冬休み前最後の登校日――。
学校中がどこか浮かれた空気に包まれていた。
朝から教室は大騒ぎ。
あなたの下の名前もみんなの会話を聞きながら笑っていた。
少し前までは、“休み時間が怖い”なんて思っていたのに。
今は、この騒がしい空間が心地よかった。
ホームルームが終わり、担任が教室を出ていく。
その瞬間。
あっきぃが机を叩きながら立ち上がる。
笑い声が広がる。
自然に名前を呼ばれる。
そのことが、あなたの下の名前には嬉しかった。
そう答えると、みんなが笑った。
放課後。
雪のちらつく帰り道を歩いていると、あなたの下の名前のスマホが震えた。
知らない番号からのメッセージ。
一瞬、胸が強張る。
でも、恐る恐る画面を開くと――。
『この前はごめん』
短い一文だった。
続けて送られてきた言葉。
『ずっと嫉妬してた』
『でも最近、楽しそうに笑ってるの見て、自分が恥ずかしくなった』
名前は書いていない。
だけど、なんとなく誰か分かった。
あなたの下の名前はしばらく画面を見つめる。
苦しかった記憶は消えない。
傷ついたことも、全部忘れられるわけじゃない。
でも――。
少しだけ、胸の奥の冷たいものが溶けた気がした。
その時。
前からAMPTAKのみんなが走ってくる。
あなたの下の名前 は慌てて駆け出した。
雪の中で笑い合うみんなの姿が、白くぼやけて見える。
その光景を見ながら、あなたの下の名前は思う。
前の自分は、“嫌われないこと”ばかり考えていた。
でも今は違う。
“大切な人と笑っていたい”
そう思えるようになった。
帰り道。
空から降る雪を見上げながら、あなたの下の名前はそっと笑った。
冬は寒いはずなのに。
今年は少しだけ、温かく感じた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。