俺は、安藤義経(あんどうよしつね)。
すげぇ名前だろ?
笑けるよな。
何でも親父が源義経(みなもとのよしつね)が
好きだったらしくこの名前にしたんだってさ。
お袋も何も言わなくてさ。
んで、俺の膝にちょこんと座って
キャッきゃしながらテレビを見ているのは
愛娘の彩菜(あやな)。
今年で3歳。
今では保育園にもいってて友達いっぱい
作ったらしい。
そんな元気いっぱいの彩菜ですら
時々悲しい顔をする。
その原因は…
彩菜のお母さん。
そして俺の嫁。
名前は美加(みか)。
美加は今ここにいない。
もちろん別居中でもない。
俺らは周りから羨ましがられるほど
超仲良かったんだ。
中3ぐらいから付き合い出して俺が
出世したと同時に結婚。
すげぇ楽しい日々だったんだ。
あの時が訪れるまで…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!