朝のリビングは、いつも通り少し騒がしい。
テーブルでは丈一郎と和也が並んで家事をしていて、床では大吾と恭平が積み木を広げていた。
その少し離れたところで、流星がソファにつかまり立ちをしていた。
和也が手を止めて、流星を見る。
流星は誇らしそうに声を出し、手を離したり掴んだりを繰り返す。
そのとき、流星の視線が大吾に向いた。
大吾は自然としゃがみ、両手を広げる。
流星は一瞬止まり、足を見下ろした。
流星は一瞬止まり、足を見下ろした。
流星はゆっくり、右足を前に出した。
流星はゆっくり、右足を前に出した。
小さく身体が揺れる。
ぽて、と一歩。
流星はバランスを取りながら、もう一歩踏み出す。
三歩目で、よろけて前に倒れそうになる。
でもその前に、大吾の腕が流星を受け止めた。
大吾はぎゅっと抱きしめる。
流星は大吾の腕の中で、満足そうに声を出す。
流星は大吾の腕の中で、満足そうに声を出す。
二人が駆け寄ると、流星はまた床に下ろされた。
今度は、みんなのほうを見る。
一歩。
二歩。
三歩目で、流星は転んだ。
一瞬静まり返る。
でも泣かなかった。
丈一郎が流星を抱き上げる。
その小さな一歩に、誰も大げさなことは言わなかった。
けれど全員が、確かに覚えていた。
この日、藤原家の末っ子は、
はじめて自分の足で、家族のもとへ歩いた。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。