私が返事をしなくても、
セアは一人で喋り続けている。
本当に何なんだ、コイツ...。
喋り続けるせいで、気が散って
珍しいパーツの取り付けを失敗する所だった。危ない。
...迷う。
言っても大丈夫だと...思うけど、でも...。
...やっぱり、この辺の最下層では、
名前を知られただけでも、何が起こるか分からない。
だから、極力、自分の名前を口にしたくは無い。
良いのかな...、本当に、言っても.....。
セアは羨ましい。
自分の名前を自信満々に口にする事ができて、
初対面でも警戒せずに自分から話かけて、
...酷い対応をされても、怒らずに穏やかでいれて、
こんな私とも、話してくれる。
私も、環境が違ったら.........
...いや、
こんなこと、考えても無駄だ。
あぁ、言っちゃった。
悪用されても自業自得だな...。
分からない未来の事を考えても無駄なことは分かってるけど、
それでも、怖いものは怖い。
こんな環境だからこそ、何が起こるか予想もできない。
「うん」 「合ってるよ」
そう言えば良いことは分かってるはずなのに、
何故か言葉が喉から出てこない。
やっぱり、まだ本能は警戒しているんだろうな。
軽く頷き、合っている事をセアに伝える。
なんだ、勘だったのか。
さっき”機械音痴”とは言っていたけど、
ドローンについて少し知っているのかと期待したのに。
え、?
まずい、思った事がそのまま口に出てた。
(多分)最上層に住んでいるのに、
地上に行きたい人なんているのか...。
いくらでも贅沢できるはずだし、
不便な事も何も無いはずなのに。
セアは、寂しそうな表情で少し悩んだ後、
風の音で消えてしまいそうな声で呟いた。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。