第11話

8.正体
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2024/05/29 10:10
一方その頃、天鬼は奈良少年刑務所と通話をつなぎ、そこの看守長である中林に訓練の結果を話していた。
中林
『そうか。264番と131番は不採用だったか。』
天鬼
中林。お前の推薦だったから試したが、
正直、昔のお前と私より、数段落ちないか?
中林
『そんなに比較するな、天鬼。俺には分かる。
あの2人には特別な絆があると、俺は信じてる。』
天鬼
特別な絆か…。
天鬼と中林が会話していると、突如、部屋の扉が開き、ジュン、ホスト、タノシミが入ってきた。
ジュン
失礼します!(同時)
ホスト
失礼します!(同時)
タノシミ
失礼します!(同時)
中林
『ん?264番、131番!』
ジュンとホストに気付いた中林が声をかけた。
ジュン
看守長‼
天鬼
何だ?いきなり…
天鬼が苛立ったように質問した。
ホスト
本部長、俺たちも行かせてください。
ホストは頭を下げながら言った。
天鬼
必要ないと言っただろ。奴の弱点はつかんだ。
バーボンとリヒトに加えてミナトがいれば大丈夫だろう。
ホスト
…そのミナトが問題なんです。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
一方、訓練施設ではリヒト、バーボン、ミナトが光線銃を構えながら自分たちが監禁されていた部屋の中へと入っていった。警戒しながら進んでいく。すると、1人の人物が3人の元へとやってきた。
リヒト
副官!
その人物は、行方不明と伝えられていたナーガ副官だった。
バーボン
ナーガ副官、救出に参りました。
ナーガ
よく来てくれたな。感謝する。
ナーガは礼を言った。
バーボン
…ベルバイルはどこに?
ふと、バーボンが質問した。
バーボン
全く襲ってこないなんて不自然すぎる…
ナーガ
俺も不思議に思っていた。
ナーガが答えた。
ナーガ
昨晩から姿を見せなくなって、
全く襲ってくる気配がないんだ。
リヒト
どういうことだろう…
リヒトがつぶやいた。その時、銃声が響き渡った。バーボンが倒れこむ。リヒト、ナーガは目を見開いた。そして、銃を撃った張本人は、ミナトだったのだ。
バーボン
ミナト…?
バーボンが名を呼ぶと、ミナトは突然、リヒトとバーボンを蹴り倒した。ナーガが慌てて大きな銃を構えるが、足で弾き飛ばされてしまった。
ミナト
…変装・解除。
ミナトが顔を手で隠し、呪文を唱えた後、なんとミナトの顔が変わっていた。そして服をつかんで飛ばすと、フード付きの黒いマント、黒いズボン、そして頑丈そうなブーツが現れた。あまりの衝撃な光景に、3人は目を見張った。
闇鐘
…俺の名は闇鐘。今から、お前たちをまとめて地獄へ送ってやる…!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ホスト
俺がミナトに触れた時、彼が殺されるビジョンを見ました。
その時は、ベルバイルに何度も殺された、彼自身の映像だと思いましたが…
看守庁本部施設の指令室で、ホストは天鬼に事情を話していた。
ホスト
その攻撃は、俺たちには見せたことのない技でした。
天鬼
…!
天鬼がはっとする。ホストは説明を続けた。
ホスト
それがずっと引っかかっていたんです。
タノシミ
…ミナトが収監されている米沢少年刑務所に確認しました。
彼は5日前から行方不明で、失踪中だと考えられましたが…
昨夜、刑務所の裏で、遺体として発見されたようです。
天鬼
何だと⁉
タノシミの説明に、天鬼は目を見開いた。
タノシミ
それから、ミナトが見せた体術は、非常に特殊なもので、
指名手配中の、闇鐘という人物と、一致しました。
タノシミは闇鐘について説明を始めた。
タノシミ
闇鐘は、過去に強盗の疑いで刑務所に収監されていましたが、1年前の今日、脱獄をしていたそうです。
ジュン
脱獄⁉
ジュンが声を上げた。
中林
『その闇鐘という人物が、米沢少年刑務所31番を殺害して…』
ホスト
…まんまとすり替わった。
ホストが中林の言葉を引き継ぎながら言った。
ホスト
中のリヒトたちには通信できません。
俺たちが行くしか。
天鬼
しかし…
天鬼は戸惑いながら言う。ふと、中林が言った。
中林
『天鬼。俺が責任を取る。』
天鬼
…仕方ない。
天鬼が言った後、中林は2人に指示を出した。
中林
『ボーイズ・プリンセス、出動!』
ジュン
ラジャー!(同時)
ホスト
ラジャー!(同時)

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