第9話

宵の回り
149
2020/08/08 11:52
待宵 ノエル
待宵 ノエル
はあ……
待宵 ノエル
待宵 ノエル
またかぁ……
ノエルは大学の講義を聞いている途中、シャーペンを回してため息を漏らした。


昨日も同じことを聞いた気がする。後ろから2番目の階段教室で、全員の顔を見渡す。


熱心にノートを執るものもいれば、スマホをいじって遊んでいるものまで千差万別だ。

どいつもこいつも馬鹿ばっかりだ。

共通項はそこだけだった。
待宵 ノエル
待宵 ノエル
もういいや、帰ろ
静かに席を立ち、そのまま教室を出た。

学費は払っている。でもそれだって経歴のためだった。

つまらない時間に拘束されていいこぶるのは疲れる。


待宵 ノエル
待宵 ノエル
今日はどこ行こうかなー。ゲーセン?飽きたなぁ



と、そのときだった。



待宵 ノエル
待宵 ノエル
あっ……!


目の前にあったのはトラックだった。


足が動かない。取り憑かれたようにこちらに進んでくるトラックが、西日に照らされ眩しい。




ああ、死ぬのか?


待宵 ノエル
待宵 ノエル
それでも、いいかな________




気づけば、目の前は真っ赤に染まっていた。






     「これも運命なのよ」




と、聞こえた。

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