重い扉をやっとのことで開けると、誰もいないリビングに独り言を放った。テーブルに置いてあった紙切れを見て大きくため息をつき、椅子にドシンと腰掛ける。
暇つぶしにテレビを点けるが、なんだか目が疲れるような気がしてすぐに消す。
重い身体を引きずってようやく自分の部屋に辿り着くと、勢いよくベッドにダイブした。どうしてベッドはこんなにも人間を包み込めるのだろう。
ウトウトしかけてきた頃に、まだ着替えていないことに気がつく。明日は休みだから正直シワができても構わないけれど、なぜか今身体についている何かを振り払いたくなった。しかし、着替えても胸にはムカムカした何かが残っていた。
変な気分のまま夜を迎えた。
仕事に出ていた親の話し声がする。いつの間に帰ってきたのだろう。
ササッと夕食を済ませ、再びベッドに横たわる。よほど疲れているのか、瞼はすぐに落ちてきた。そのまま意識は遠のいていく。
夢の中で美冬先輩の声がする。
夢の中の僕はそう言っていた。するとたちまち先輩は笑顔になり、
と答えた。
再び夢の中の僕が口を開こうとすると、母親の「起きなさい」という声で一気に意識が覚醒した。
夢の中の僕は何を言おうとしていたんだろう。そして、僕は自分の意思で先輩に会いに行っているのだろうか。
寝起きでボーッとした頭のまま、考え続けていた。
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投稿遅れてしまいすみません!
次回もまた読んでくださると嬉しいです(*^^*)
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。