第9話

自分の気持ち
6
2023/11/26 07:21
零次
零次
ただいま
 重い扉をやっとのことで開けると、誰もいないリビングに独り言を放った。テーブルに置いてあった紙切れを見て大きくため息をつき、椅子にドシンと腰掛ける。
暇つぶしにテレビを点けるが、なんだか目が疲れるような気がしてすぐに消す。

重い身体を引きずってようやく自分の部屋に辿り着くと、勢いよくベッドにダイブした。どうしてベッドはこんなにも人間を包み込めるのだろう。
ウトウトしかけてきた頃に、まだ着替えていないことに気がつく。明日は休みだから正直シワができても構わないけれど、なぜか今身体についている何かを振り払いたくなった。しかし、着替えても胸にはムカムカした何かが残っていた。



変な気分のまま夜を迎えた。
仕事に出ていた親の話し声がする。いつの間に帰ってきたのだろう。
ササッと夕食を済ませ、再びベッドに横たわる。よほど疲れているのか、瞼はすぐに落ちてきた。そのまま意識は遠のいていく。
美冬
美冬
零次くん
 夢の中で美冬先輩の声がする。
美冬
美冬
迷惑だろうから、しばらく会いに来なくていいよ
零次
零次
いや、僕は自分の意思で会いに来てるんです
 夢の中の僕はそう言っていた。するとたちまち先輩は笑顔になり、
美冬
美冬
ありがとう
 と答えた。
再び夢の中の僕が口を開こうとすると、母親の「起きなさい」という声で一気に意識が覚醒した。

夢の中の僕は何を言おうとしていたんだろう。そして、僕は自分の意思で先輩に会いに行っているのだろうか。
寝起きでボーッとした頭のまま、考え続けていた。






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投稿遅れてしまいすみません!

次回もまた読んでくださると嬉しいです(*^^*)

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