呼びかけても、頬に添えられた可愛らしい両手は離れることなく、むしろぐっと引き寄せられてまた触れるだけのキス。
ついさっきまで満足そうに笑って何度も唇を押し付けていたロンジュニヒョンが、途端に眉を寄せて拗ねたような顔をする。
慌てて否定すれば、じゃあいいじゃん、と、また繰り返されるキス。その小さくて柔らかな唇は、頬やまぶた、口角、唇…至るところに落ちて。こんなことで反応してしまう自分を、この綺麗なヒョンにだけは気付かれたくない。
どう考えたって可愛いのはロンジュニヒョンの方なのに、幼い頃から染み付いてしまった感覚が抜けないのか、僕のことを可愛がるのが本当に好きみたい。慈愛に似た笑顔に、僕は顔を背けてしまいたいほどなのに。
ねぇ、もう僕たち、子どもの頃のままじゃないでしょ?
唇がくっつくだけのキスでも、あなたからされたら僕はこんなふうになっちゃうんだよ。
可愛い。かわいい。こんなに綺麗な人が、僕の恋人だなんて。そんなロンジュニヒョンの普段は絶対に見せない蕩けた表情に、無意識に欲を抑える癖がついてしまった僕は、ダメになっちゃう前に唇を離す。ロンジュニヒョンの名残惜しそうな瞳には気付かないふりをして。
傷つけないように、壊さないように。まるい後頭部をやわらかく撫でて、距離を取る。
そんな僕の袖を、ぎゅっと掴んで。
………落ちるのも、時間の問題かも。
fin.












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!