えと side
るなの母親は、のあさんの
両手を掴み、首筋に包丁を突きつける。
私は無言のまま首を振り、
るなの母親の要求通り携帯を机に置いた。
のあさんが喋ろうとしたとき、
るなの母親がのあさんを制止した。
包丁を突き出されたのあさんの首から、
微かに血が流れる。
私は言い返そうと思ったが、全ての
状況を知るわけじゃないるなの母親に
とっては、私たちといたせいでるなが
あんな目にあったのだと思えてしまう。
そう思うと言い返そうにも
言い返せなかった。
……でも、一つだけ言いたい。
私は思ったことをそのまま口に出した。
怒りのままに、私やるなの思いを
るなの母親にぶつけた。
でも、それがいけなかった。
るなの母親はのあさんを掴んだまま私に
近づいてきて、私の頭に包丁の手持ちをぶつけた。
のあさんが私を呼んだのを最後に、
私は意識を手放した。
のあ side
私の前で殴られたえとさんは、
スローモーションのように倒れた。
るなさんの母親はそう吐き捨てた。
るなさんの母親は私の手を引っ張り、
リビングの椅子に座らせた。
未だ包丁を私に向けたまま、
ゴソゴソと何かを取り出した。
それはペンと便箋だった。
このままこの人の言いなりになって
しまったらるなさんが危険かもしれない……。
でも、自分の命というものを盾にされ、
私は命令に従うしか無かった。
手紙を書き終わると、るなさんの
母親は私の両手を後ろにまわし、
結束バンドで固定した。また、
口にガムテープをはって何も
話せないようにした。
目の前の床に包丁を刺され、
私は黙り込んだ。
るなさんの母親は気絶している
えとさんの両手も結束バンドで
固定し、口にガムテープを貼った。
そして私たちは、リビングの
クローゼットの中に押し込まれた。
るなさんの母親は玄関から出ていった。
暗いクローゼットの中、私は
えとさんの胸に顔を寄せた。
とはいえ、この状況を打破する方法は無い。
私たちは誰か来るまでこのままだろう。
手は拘束されて、声も出せない。
足は動かせるが二人でクローゼットに
押し込まれたためほんの僅かに動く程度。
脱出するのはなかなか無理そうだ。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。