第23話

XXI 置き手紙
113
2025/08/02 02:18 更新
えと side
えと
えと
のあさん!
るなの母親
動かないで!
るなの母親は、のあさんの
両手を掴み、首筋に包丁を突きつける。
るなの母親
携帯を机の上に置いて。
余計なことをしたら
この子を刺す。
のあ
のあ
えとさん……ごめんなさい……。
えと
えと
…………。
私は無言のまま首を振り、
るなの母親の要求通り携帯を机に置いた。
えと
えと
…………何が目的なの?
るなの母親
るなを返してもらう。あの子は
私の娘よ。あなたたちと一緒に
過ごさせる訳にはいかない。
のあ
のあ
……でも、るなさんは…………
るなの母親
あんたは黙ってて!
のあさんが喋ろうとしたとき、
るなの母親がのあさんを制止した。
包丁を突き出されたのあさんの首から、
微かに血が流れる。
えと
えと
……のあさんを離して。
るなの母親
無理な話ね。るなはあなたたちと
一緒に居たから、あんな事に
なったのよ。私はあなたたちを
見損なったわ。あなたたちなら
るなが一緒に居ても、大丈夫だと
思っていたのに……。
えと
えと
………………。
私は言い返そうと思ったが、全ての
状況を知るわけじゃないるなの母親に
とっては、私たちといたせいでるなが
あんな目にあったのだと思えてしまう。
そう思うと言い返そうにも
言い返せなかった。



……でも、一つだけ言いたい。
えと
えと
……るなに散々暴力をふるって、
今更母親ぶるのか……?
えと
えと
るながどんな気持ちで私たちと
一緒に過ごしたいと言ったか、
あなたは知らないよね!?
えと
えと
るなはずっと苦しんでた!
それなのに……今更急に出てきて、
「娘だから返せ」って?
余りにも自分勝手すぎる!
私は思ったことをそのまま口に出した。
怒りのままに、私やるなの思いを
るなの母親にぶつけた。




でも、それがいけなかった。
るなの母親はのあさんを掴んだまま私に
近づいてきて、私の頭に包丁の手持ちをぶつけた。
えと
えと
あ゙っ……!
のあ
のあ
えとさん……!
のあさんが私を呼んだのを最後に、
私は意識を手放した。
のあ side
のあ
のあ
えとさん……!
私の前で殴られたえとさんは、
スローモーションのように倒れた。
るなの母親
うるさいのよアンタ。私が
娘をどうしようが自由でしょ。
るなさんの母親はそう吐き捨てた。
るなの母親
ほら、あんたはやってもらう
ことがあるの。
のあ
のあ
痛い…………!
るなさんの母親は私の手を引っ張り、
リビングの椅子に座らせた。
未だ包丁を私に向けたまま、
ゴソゴソと何かを取り出した。

それはペンと便箋だった。
るなの母親
るなに手紙を書いてもらう。
私が言ったことをそのまま
あんたが書いて。違うことや
不自然な改行をしようとしたら
すぐにあんたを刺す。
のあ
のあ
……………………。
このままこの人の言いなりになって
しまったらるなさんが危険かもしれない……。
でも、自分の命というものを盾にされ、
私は命令に従うしか無かった。















手紙を書き終わると、るなさんの
母親は私の両手を後ろにまわし、
結束バンドで固定した。また、
口にガムテープをはって何も
話せないようにした。
のあ
のあ
ん〜〜〜〜!ん〜〜!
るなの母親
うるさい。刺されたいの?
目の前の床に包丁を刺され、
私は黙り込んだ。
るなさんの母親は気絶している
えとさんの両手も結束バンドで
固定し、口にガムテープを貼った。
そして私たちは、リビングの
クローゼットの中に押し込まれた。
るなの母親
じゃあね。
るなさんの母親は玄関から出ていった。
暗いクローゼットの中、私は
えとさんの胸に顔を寄せた。
えと
えと
スゥ-…………スゥ-…………
のあ
のあ
(良かった……ちゃんと生きてる……)
とはいえ、この状況を打破する方法は無い。
私たちは誰か来るまでこのままだろう。
手は拘束されて、声も出せない。
足は動かせるが二人でクローゼットに
押し込まれたためほんの僅かに動く程度。
脱出するのはなかなか無理そうだ。
のあ
のあ
(ごめんなさい……るなさん……)

プリ小説オーディオドラマ