年末、東京駅まで迎えにきてくれたジャスミン。
新しいお家は、セキュリティー万全の高級マンション。
食べ物や飲み物をたっくさん買って、部屋に戻った。
メッセージカードを見せる。
何をあげたらいんだろう…
大毅が喜ぶもの…
大毅が好きなもの…
ニラ…
しか思い浮かばない…
ニラか…
それから、2人でおつまみを作って、
テレビを見ながら飲んで食べて。
気付いたら大毅の出る、
毎年恒例のカウコンが始まった。
そこにはとびきりスマイルの大毅の姿。
首元には赤いマフラーが。
送ってきたものと同じものだ。
お揃いだったの!?
驚きと嬉しさで、パニックになっていると、
大毅は赤いマフラーを握りしめ、
と叫んだ。
もうカウントダウンどころではなく…
いろいろ込み上げてきて、
胸がいっぱいになって、
お酒を水みたいにガブガブ飲んじゃって、
泣きまくる始末…
ジャスミンの言葉で、
涙がまた滝のように出て。
マフラーをギュッと抱きしめる。
こんなに好きなのに…
こんなに近くにいるのに…
どうして会えないの?
神様、大毅に会わせてください…
夢の中だけでもいいから…
すると遠くの方から、
“あなたー”
私を呼ぶ声がする…
大毅の声だ…
ここは夢の中?
そっか…
私、あのまま寝ちゃったんだ…
神様、ありがとうございます。
“あなたー!おーい!”
だいきぃ…どこにいるの…?
あいたいよぉ…どこ?
うぅ…うわぁーん…
“おい!怖い夢でもみてるんか!”
みてないよぉ…
怖い夢なんか、みてない…
えっ!?
ガバッと起きる!
大毅!?
いつの間に…
通りでママが、年末なのにすんなり送り出してくれたわけだ。
ジャスミンに抱きつく。
横で、微笑む大毅。
私は幸せ者だ。
昨日たくさん買い込んだ食料を渡される。
ジャスミンの家を追い出される…
てかさ…
パジャマなんですけどー!!!
急いで上着を脱いで私の肩にかけた。
あったかい…
エレベーターに乗る。
上に上がるにつれ、緊張してきた…
どしよ…
大毅がドアを開けてくれる。
ゴロゴロはひとまず玄関に置いて、
靴を脱いで部屋の中へ。
薄暗い廊下を歩いていると、
後ろから勢いよく抱きしめられる。
苦しくなるほどギューっとされる。
もうその一言で充分で。
まわされた大毅の手を握って頷いた。
と聞かれると、
と答えたくなるわけで。
大毅の手を振り払い、
くるっと向いて、大毅をガッチリ抱きしめる。
私は何も言わず大毅を力一杯抱きしめた。
すると大毅は嬉しそうに、
本当、その通りだ…
ここから離れるなんて無理だ…
逃げる大毅を追いかける。
久しぶりに見た大毅の笑顔。
大毅、本当に本当に、大好きだよ!!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!