いつもヘラヘラしてて、優しいし人当たりも良い。
なのに行動も言動もぶっ飛んでるし、何考えてるか分かんない。
いつもふざけ散らかしてて、本当に馬鹿だなと思うけど、意外と頭は良い。
それに隠れた所で訳分かんないくらいすっごい努力してるし、意外と頑固で真面目。
かと思えばやっぱ抜けてる。
率直に、宇宙人だと思った。
今まで出会ってきた人間の中でこれ程までにヤバい奴は見たことがない。
それと同時に俺は、こいつに興味を持ってしまったんだ。
初めは怖いもの見たさの様な感覚だったと思う。
でも、そいつと接していくうちにその感情は徐々に形を変えていった。
いつからだったかは覚えてないけど、その笑顔を向けられる度に胸が鳴って、声をかけられる度に幸せな感覚に陥る様になってたんだ。
そして、その感情の正体に気付く事に、そこまで時間はかからなかった。
何を思ったのか、隣に寝転んできたさつき。
顔がぶつかるんじゃないかってくらい近い距離で向けられた笑顔。
そのまま短い手足を伸ばして俺に抱き着いてきた小さな身体。
本人はおふざけの延長線上でそんな事をしてきたんだと思う。
それでも俺の胸は大きく波打ち初めて、その時確信してしまったんだ。
俺はさつきの事が好きなんだと…。
その気持ちを抱えたまま数ヶ月が経ち、俺はもう一つあることに気づいた。
多分、いつもさつきの事を見ていたから気づけたんだと思う。
俺はさつきを見ている。
でもあまり視線が交わることはなかった。
だって、さつきが見ているのは俺じゃなかったから。
さつきの視線の先にはいつだって涼雅がいた。
本当に愛しいものを見る様な視線を涼雅に向けるさつき。
その幸せそうな、でも少し切なそうな表情を見てたら、嫌でも確信せざるを得ない。
多分、さつきは涼雅の事が好きなのだろう。
確信したと同時にズキっと痛む胸。
でも、どうする事も出来ない。
例え思いを伝えた所で答えなんて分かってるし、それなら今まで通り仲間として良好な関係を続けた方がいい。
苦しいし、こんだけ毎日顔突き合わせてんだから忘れることなんて出来ないけど、それでも抑えるしかない。
この気持ちを俺の心の中に留めておけば、関係が崩れる事もないし、これからもずっと今まで通りだ。
プラマイゼロの関係。
ただ、さつきの中でマイナスな存在になる事が怖い。
らしくないと思うけど、今日も俺は未練がましくさつきを見つめる事しか出来なかった。
どんだけ見つめててもやっぱり視線が交わることなんて無くて、キュッと締め付けられる胸。
涼雅と会話を交わしながら、いつもより少し幸せそうな笑顔を浮かべているさつきの横顔を見て、溢れ出しそうになる気持ちをぐっと堪えた。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。