第10話

9.
92
2024/03/06 09:00


⚠️ちょっと重たいです、ご注意ください!



僕にはね、昔、お兄ちゃんがいたんだ。

従兄弟の…とかじゃないよ。
本当の、双子のお兄ちゃん。

お父さんとお母さんとお兄ちゃん、それに僕。4人家族だった。

お父さんたちもね、そこまで仲は悪くなかったと思ってた。時々ちょっと喧嘩するくらいだなって思ってたの。




だけど、あとから知ったんだ。




そうじゃなかったって。


本当はもっと、仲が悪かったらしい。

なんでかはわからないけど。


でもまあ、当時の僕はそんなことも知らずに、今日まで続いてた毎日が、明日も続くはずだってなんの疑いもなく信じてて。




いつの間にか2人の仲は、直すこともできないほど悪化してた。



そしてある日の夜、






父が消えた。


正直、あの頃の僕は物心もついたばかりで、ほとんど記憶なんてなくて。




でも、あの顔だけは忘れられない。



怒りに歪んだ父の顔が。

苦しそうに泣き叫ぶ母の顔が。

呆然と虚空を見つめる、兄の顔が。





それから僕は、母さんの親戚の家に預けられた。時々、母さんとも会ってたし、お兄ちゃんとも…会ってたと思う。あんまり覚えられてないんだけどさ。



でも、ある時から急に母に会えなくなって……
……養母から、母さんが死んだって聞いた。


お兄ちゃんとも、会えなくなった。

今、どこにいるかもわからない。
何をしているのかも。
生きているのかすらも。


それでも、いつかまた、会いたいって。


会えるはずだって。

信じてる。


僕の、たった1人の。






『本当の家族』



風鈴(主)
次回も過去編です!
風鈴(主)
閲覧ありがとうございました!
次回は明日の18:00に公開予定です。

お楽しみに!

プリ小説オーディオドラマ