第11話

10.
89
2024/03/07 09:00
⚠️9.の続きです。引き続き重ためです。




養親はね、とっても優しかったの。
だけど、少しだけ、本当の家族との記憶があるせいで。

少ししかないせいで。




ずっと、それに縋ってた。


どうせならいっそ、本当の家族の記憶なんか、無ければ。


何度もそう思った。



だけど、その度に、昔の記憶が。
家族との幸せな記憶が。



消しちゃダメだ。って
忘れちゃダメだ。って


言ってくるんだ。




忘れるべきか、忘れないべきか。
どっちが正しいかわかんなくて、昔はずっと塞ぎ込んでた。






そんな僕に目をつけた奴らがいたんだ。
こいつはいじめやすそうって。


だから、低学年の頃とかはずっといじめられてた。
僕は自分が悪いとは思わなかったけど、否定されることは辛かった。

誰かに相談したくて、でも怖くて誰にも言えなくて、僕は益々暗くなった。




でも、そんな僕を助けてくれた子がいた。


同じクラスで、僕の唯一の話友達だった子。
その子が気づいてくれたおかげで、僕は相談できた。


初めて救われた時、思ったの。


僕も同じことをしたいって。

ひどいことをされても相談できない子を見つけて、助けたいって。


いじめられ始めたあとの水季はね、あの頃の僕と同じ目をしてた。


自分を否定され続けて、誰かに話したくて、でも怖くて……そんな目。





ずっと、助けたかった。







だから………







おそくなってごめんね、水季。


風鈴(主)
閲覧ありがとうございました!
次回は明日の18:00に公開予定です。

お楽しみに!

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