「本谷ありがと!助かった!じゃ、教室で!」
門の横に自転車置きがあり、本谷は自転車を置いてくるというので先に行くことにした。
待っていようかと思ったけど、さすがに時間がない。
教室に行くと、
「あ、あなた!おはよ〜!今日遅かったね、休みかと思ったよ〜。」
と元気よく挨拶してくれるのは、私の一番の親友、美麗。
「おはよ〜、今日ちょっと寝坊しちゃって…」
「いや、ちょっとじゃないよね??んー、私の予想では、8時過ぎに起きたでしょ?」
まんまと当てられ、「あ、はい。そうです、、」と答えながら私の席へ向かう。
「あはは、やっぱりね〜。でもあなた、寝坊なんて珍しいね?」
「まーねー、そういう日もあるんだよぉ〜」
私の席は一番後ろの窓側。
なんて良い席なんだろう。
「あれ?なんで席が一個増えてんの?」
私の席の窓側は1席分空いていたはずだ。
「あー、なんか来た時すでになってたから、きっと転入生が来るんじゃないかってみんな言ってたよ。」
「本当!?やったぁー!可愛い女の子隣なんて嬉しいなぁー」
まぁ、可愛い女の子なんてわからないけど、もしかしたら男子かもしれないし、
「まったく、女の子かどうかなんてわからないでしょ?」
「美麗は私の心が読めるんだねえ〜。あはは」
と話しているとチャイムが鳴った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。