HRが終わった後、私は悠くんの所へ行き恐る恐る聞く。
悠くんは一瞬目をみはり、すぐにふわりと微笑む。
懐かしい声色に私もつられて破顔する。
息の合ったやり取り。お互いを分かりきった呼吸。それは3年前まで「親友」だった私達の確かな証だった。
横から小突いてくるあかりにそうだよ、と微笑むとあかりはえーっ、と声を上げた。
ちゃっかり自己紹介をするあかりに苦笑する。
手をマイクに見立てて聞いてくるあかりに、本題はそれか、と苦い顔をする。
悠くんはというと、あかりの勢いに圧倒されているのか驚いたような表情だ。
あかりがぶーたれた直後、関口先生が再度教室に入ってきた。
あかりに急かされるままに私は席に戻った。
その時悠くんがどんな表情をしていたかには気づかなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。