妊娠してる…わたしが…?
ありえない…。
でもエコー写真の証拠もある。
ありえなくないんだ…。
のんちゃん達にちゃんと言わなきゃ…。
そー思っていた時
ガチャ
全[ただいまー!]
みんなが帰ってきてしまった。
とりあえず、心配させたくないから
また無理して笑顔で
「おかえりー!」
っていう。
それでも
望[なんかあったん?]
なんてすぐにのんちゃんにバレる。
私そんなに笑ってなかった?笑
「なんも!どーして?笑」
望[なんか笑顔が嘘に見えたんやもん。]
すぐ分かるんだね。
言うっきゃない。
「実はね、皆に言わないといけないことがある。」
望[俺にも関すること?]
「のんちゃんに関する事と皆に関係することの2つ」
『なんや??』
「まず1つ目。今日ね主治医に呼ばれて病院行ったの。」
望[そーやったん?]
「うん。そしたら、妊娠3ヶ月だって。」
『え?ホンマに?』
望[ホンマに?俺パパになるん?]
「うん、そーだよ(*´ω`*)」
望[やったー!あなた、おおきに!]
「いーえ。で、もう1つは病気のことなの。」
淳[どーやったん?]
「為す術もなければ進行も進んでるって。笑」
『そんな…。』
「余命宣告は受けなかったけど、そー言われた。」
照[嘘やん。]
崇[待ってや。]
「ん?」
崇[進行が進んでるんに妊娠してるわけやん?]
「うん。」
崇[中絶せなあかんってこと?]
望[え、さっきパパになるって言うたやん!]
[うん、なるんだよ。パパに。]
大[やけど、お前が死ぬかもしれんのやろ?]
「うん。そー言われた。」
流[お前が死ぬんなら中絶すればええやん。]
「嫌なの。私の命を守るようなことしたくないの。」
望[なんで?お前の命も大事やん。]
「私は、赤ちゃんを産んでのんちゃんに少しでもパパらしいことさせてあげたい。これから産まれてくる赤ちゃんを私だと思ってほしい。私の分身だと思って生きてほしい。そう思ったから主治医に産みたいですって言ったの。」
望[あなた…。]
「私が死んでも悲しまないでほしいの。」
望[わかった。]
『なあ、あなた。』
「ん?」
『出産予定日はいつなん?』
「えっとね、秋くらい」
『そうか。』
「うん!」
望[やけど、あんまり無理したらあかんよ?]
「大丈夫だよ!」
望[んなら、ええんやけど。]
「うん!」
こうして何とか言えました。
でも、余命宣告から考えると秋までもたないかもしれない。
産めないかもしれない。
それでも産みたいっていう気持ちはある。
どうか。どうか私の命さん。
秋まで。せめてこの子を産むまで耐えてください…。
そう願うしかなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。