それから私は、家に帰った。
ほどなくして、あることを思い出した。
“俺、あなたちゃんが好きだ。”
“返事は今じゃなくていいから、考えておいてくれないか。”
千秋先輩…
先輩の傷つく顔は見たくなかった。
でも、私の心は決まっているから。
明日。ちゃんと言いに行こう。
そう思って私はベッドに入った。
ピロンッ
LINEが鳴る。
賢人《 おやすみ。》
私、本当に幸せだよ。
あなた《おやすみなさい。》
私は眠りについた。
次の日の朝。
「行ってきまーす!」
家を出ると。
やっぱり隣から賢人が出てきた。
もう心が通じ合ってる証拠だね。笑
賢人に駆け寄る。
2人で教室に着いても、もう誰もなにも言わなかった。
昼休み。
そう言われたけど。
そう言って教室を出る。
3年生の階に行く。
友達とお弁当を食べているところを抜けて、駆け寄って来てくれる。
まっすぐ先輩を見ることができない。
先輩に着いて行く。
頭を下げる。
先輩の表情を見ることはできなかったけど。
優しい声でそう言った。
顔を上げると、
切なげで、でも穏やかな表情をした先輩がいた。
どこまで優しいんだろう。
心を込めて、そう言えた。
千秋先輩があっての私たちだ。
私はそう確信した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。