私が『読書同好会』に入り、一週間が経った。思惑通り、私は1人で部室を占領し、1人の時間を楽しんでいた。
でも、そんな時間は突然終わってしまった。
いつも通り、誰もいない静かな部室を開けた時。
そこには、人が居た。
突然見たことのない人が部室に居た驚きと、その態度のふてぶてしさが混ざって、私は何も言えなくなってしまった。
初対面の人のことをあんたって。というか、こっちに質問するよりも自分のこと言う方が礼儀でしょ。
なんて考えていた。
あ、やば。
ついつい声に出して言ってしまった。
相手は怪訝そうにこちらを見て、なかった。なんか、もう読書を始めている。
…この人は、大丈夫かも。
ふてぶてしくて、すごく自分勝手なのはもう分かってしまったけど。
この人は、他の人とは違う。
私は、いつもの席…今だとその人の前に座った。そして、カバンから本を取り出す。
この日から、私の日常が少しずつ変わっていく、なんて考えもしなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。