第27話

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2018/01/25 08:24
天宮 晴樹
本当に?

淡い期待は儚く散った。

何となく分かってはいたが、多少なりとも 胸は痛む。
あなた

本当だよ

もちろん、晴樹に責任はないのだが、この憂鬱を彼にぶつけてしまいそうになる。
天宮 晴樹
そっか
…“好きな人”はいるけどね。
と内心思いながら、「晴樹は?」と返信をする。

他人の恋愛に興味があるわけではないが、一応 幼馴染だ。
知っていて損は無いだろう。

何かあったら相談にも乗ることが出来るし。
天宮 晴樹
いないよ
不覚にも、返ってきた彼の言葉に ほっとしてしまう。
会わないうちに 大人っぽくなっていたので、“階段”を登ったのかと思っていたが、案外そうではないらしい。
天宮 晴樹
でも、好きな人はいる
あなた

そうなんだ。どんな子?

同じクラスの子だろうか。
それとも、部活が同じとか?

色々と考えを巡らせながら、返信を待つ。


今思えば、幼馴染の恋愛事情を聞くのは、これが初めてのような気がする。

私が高校に入るまで、お互いそういう相手はいなかった。恋人がいなくたって、二人で過ごす時間は 楽しいものだったからだ。


不思議だった。

いつの間にか、知らないことが増えて、顔を合わせることも少なくなってしまったことが。

あんなにも、大切な友人だったのに。

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