『ど、どこ行くの?』
「目瞑って。俺腕引っ張ってるから安心して。」
私は言われるままに目を閉じた。なに?
「いいよ。目開けて。」
『うん...』
目を開くと彩られたクリスマスツリーが目の前にあった。
「テストっていっても追試だけど。ご褒美」
花澤...
『まだ出会って2日しか経ってないのに、よくしてくれてありがとね』
「2日どころじゃない」
『え?』
「俺お前と話したことある。あなた、入学式の日遅刻したろ?」
『うんした、』
「その時一緒に怒られた人いなかった?」
『いた』
私ともう1人の子が遅刻して、 “ 入学式早々どういうことだー! ” って怒られたんだっけ。
「それ俺。」
『え、そーなの!?』
「うん。」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。