君が隠すために落としたポエムには、
『迎えに来て。
輝く目印で待ってるから、1番近くで待ってるから。』
そう書いてあった。
大きな綺麗なクリスマスツリー。
私がいるここで、明日の夜、
本当は大好きだったんだよ、
クリスマスイブに交通事故で亡くなったお父さんとお母さんが。
虐待なんてなかった。
幸せな家族みんなで、
クリスマスの朝を過ごそうと……していた。
君は何を恨んだのだろう。
クリスマス?
サンタクロース?
やっぱり、昨日までは楽しみにしていたそれを
急に嫌いにはなれなかった?
強い風が私の髪を泳がせる。
乾いた涙は消えてしまった。
君は今まで生きてきた。
学校に行く気はないし、
自分を養子にもらった人は自分のことを嫌いで。
私なら耐えられない。
君も限界だった。
両親に会いたかった。
けど、会う方法なんて1つしかない。
明日、両親が亡くなったちょうど1年後。
両親に会うため、
クリスマスと私の力を借りて
命を捧げる。
死なないで。
大切な命。
両親がくれた命。
無駄にしないで。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!