第13話

エピローグ
64
2017/12/13 09:24
ルシフェルが部屋へ帰ってくると、テーブルの上にアルバムと手紙が1つ置いてあった。
ルシフェルへ

今までありがとう。
散々連れ回してごめんね。

ルシフェルと過ごした毎日はとても充実していて、おもしろくて、楽しかったです。
あの時ルシフェルに出会っていなかったら、今頃私はどうなっていただろう、って何度も考えました。
ルシフェルがいてくれたから、私は幸せな最期を迎えられます。

私を見つけてくれて、ありがとう。
私を生かしてくれて、ありがとう。
私を救ってくれて、ありがとう。
そばにいてくれて、ありがとう。

感謝してもしきれません。
うまく言葉にできないけれど、私のこの気持ちがルシフェルに届きますように。

また、来世とかで会えたらいいね。

あと、私のこと、忘れないで。
ルシフェルまで私のこと忘れたら寂しいし、悲しいから。
ずっと、覚えていて。

乃愛流
ルシフェルは手紙を読んで、気づいた。

「ああ、ようやくわかった…。」

ルシフェルの頬を涙が伝う。

この感情は、胸が痛むこの感情は。

「悲しみ」だ。

「はっ…。人間に情などわかないと思っていたのだがな…っ。」

ルシフェルはしんと静まり返ったその部屋で、静かに泣いた。
ようやく涙が止まると、ルシフェルは最後に撮った乃愛流の写真を印刷して、アルバムの最後のページに貼り付けた。
アルバムに手紙を挟み、それを持ってリビングを出る。
玄関の扉を開けようと取っ手に手をかけた時、ふいにリビングの方を振り返る。
そこに乃愛流がいるような気がした。
ルシフェルは優しい笑みを浮かべた。
玄関の扉を開けると、雪が舞う中、朝日が昇り始めようとしていた。
ルシフェルは黒い翼を広げ、空へ飛び立った。


私は突然、未来を奪われた。

そんな私の前に現れ、救ってくれたのは、悪魔だった。


これは、私と悪魔の、軌跡と奇跡の物語。

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