あれ以来、銀はずっと学校に来ていない。
だから、銀の席はいつも寂しげに佇んでいる。
今日もいつもと同じように銀の席が空いているのを横目で見ながら自分の席に着いた。
突然上がった黄色い歓声。
見る前に私は感じた。
銀が帰って来た…
たしかにずっと会いたかった銀がいた。
でも銀の腕に絡まっている女の腕。
美桜…。
え…?
以前の銀とはまるで別人のようだった。
あの暖かかった目は冷ややかな視線にかわり、
私を蔑むように見ていた。
涙が出る。でも、これは悲しいからではない。
銀が生きていることに、そしてどんな形であろうと、私の前に姿を現してくれたことが嬉しかったからだ。
銀は不服そうに私の机を蹴って帰る。
そして美桜はその後をついていく。
そうか。これが美桜の私に対する嫌がらせか…
思ったより辛いよ…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。