次の日
彼は学校に 来なかった…
お父さんの仕事の都合で
引っ越したらしい
みんな知らなかったらしく
朝からザワついていた……
それから2年間
梅雨の間
紫陽花の前で
自然と足が止まった…
そんな事があったのは
もう8年も前…
彼は何処で何をしているのか……
『強い雨にビビって…
寄り添いあってるみたい…』
聞き覚えのある声…
振り向くと
落ち着いた雰囲気の
中川 瑞樹だった…
2人同時に…
『お前のこと嫌いじゃないし!』
笑い合う2人…
雨に打たれる 2つの傘が揺れ
駅までの道を 2人で歩き出す
水溜まりで小人達が
ピシャピシャと跳ね回り……
紫陽花が寄り添いあって
雨の雫に揺れる…
赤色と紺色の傘が
紫陽花の花のように
寄り添いあい…
2人の姿が
どんどん小さくなって行く…
END
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。