どのくらい探したのだろうか。
時間が経つのも忘れて必死に探し出す。
女の子の為に探し出してあげたい、
悲しみから解放してあげたい、
その一心で動く。
ふとおもちゃ箱に目がいき、中を探すと
おもちゃ箱の奥底にあったのは
ハートの形をした石が嵌め込まれた指輪だった。
女の子が失くしたものは指輪だったのだ。
きっとおもちゃ箱におもちゃを戻すときに
女の子の指から外れ、指輪も一緒に入ってしまったのだろう。
ソッと枕元に指輪を置く。
楓と蒼太がソッと出て行こうとしたとき、
その声にビクッとし、恐る恐る振り返ると
指輪を持った女の子が立っていた。
蒼太は何て言っていいのか戸惑っていると、
パチっとウィンクをしてサッとソリに乗る楓に続き、
蒼太も出て行こうとしたとき、
女の子の手が蒼太の制服を掴んだ。
蒼太は反動的に受け取り、
後ろ髪を引かれつつソリに乗る。
2人を乗せたソリは女の子の家を後にした。
ふと後ろを振り返ると、ジッとまだこちらをキラキラとして見つめてる女の子の姿があった。
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その声にハッとして握り締めたままだった手を開く。
子供らしいお礼に思わずクスリと笑ってしまう。
楓は申し訳なそうに呟く。
蒼太は飴玉を楓に渡す。
女の子から折角貰ったから残念に思ったが、
蒼太は達成感で満ちていた。
自然と笑みが零れる。
言いにくそうに楓は目線を下ろすが、
意を決して蒼太を見つめて言う。
楓は照れを隠すように早々に告げる。
蒼太はその言葉に頷き、
毎年つまらなかったクリスマスが
毎年楽しくなるのかなと考え始めていた。
もちろん、楓と過ごせてラッキーという意味が大半を占めている。
なんだか久々にワクワクしてきた蒼太だったが疲労感もあり、
ふと眠くなってそのままソリの中で瞼を閉じた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。