第2話

*あだ名
48
2017/12/22 17:44
神奈
リ・ン・ゴ・ちゃん☆
 突然、背後から聞き覚えのある呼び方をされて、思わず肩が飛び跳ねた。
月野 結愛
…へっ!?
しかし、振り返ってみたそこには彼ではなく、いたずらな表情を浮かべる親友の姿があった。
神奈
ま~た、雪矢のこと考えてたでしょ?
神奈ちゃんが、ニヤニヤしながらつついてくる。
月野 結愛
ちっ、違うよ~
あたしは、図星だったけど恥ずかしかったから必死に手を振って否定した。
神奈
またまた~!!顔赤くしちゃって!!乙女ね~青春じゃん☆
月野 結愛
ホントだってば!
あたしはまた、否定するけど、そのあとも神奈ちゃんは、しばらくからかい続けた。









朝のHRがおわり、神奈ちゃんがあたしの隣に座って話始めた。
すると、向こうから雪矢くんもやって来た。
雪矢
なぁ何はなしてんのー?
と、話に混ざろうとする雪矢くんを
神奈
雪矢なんかに教えないわよ、さっさと男子のトコ行きなさい!
シッシッと手を振りながら、突き返す。
雪矢
えー?なんだよ~。じゃあリンゴちゃんと話すからいいですー。神奈はあっち行きなよ
つーんとしながら、雪矢くんがあたしの手をグイッと引っ張る。
雪矢くんが掴んでいるあたしの手が、熱く感じる。
神奈
止めなさいよ。結愛嫌がってるじゃない!!
と、今度は神奈ちゃんが引っ張る。
雪矢
じゃあ…リンゴちゃんと何話してたのか教えろよ~
雪矢くんが、椅子の背もたれを前に腰かけて、ゆらゆら揺らす。
神奈
まだ何も話してないわよ…。あ……そういえばさぁ
神奈ちゃんが、ムスッとした顔から何か思い出したように言って、こう続けた。
神奈
雪矢ってさ、結愛のこと『リンゴちゃん』って呼ぶじゃない?アレなんなの?
(あ、あたしも気になっていたけど、なかなか聞けなかったなぁ…)
 もともと神奈ちゃんは雪矢くんと去年から知っていて、このクラスになってから雪矢くんに会った私は初めは普通に「月野さん」って呼ばれていた気がする。しかし、よく話すようになってからいつの間にか「リンゴちゃん」と呼ばれていた。
雪矢
あぁそれねー…
雪矢くんも、ひらめいたような顔をする。
雪矢
…だってリンゴちゃんの靴下、リンゴだし
(え?)

あたしも神奈ちゃんもあたしの靴下を見る。黒地にワンポイントのちっさなリンゴが入った靴下。

(これのことだったのかぁ…)

リンゴなんて、思い当たる理由がなかったので、やっと納得出来た気がした。
雪矢
それに……
神奈
まだあるの?
雪矢くんの言葉に、神奈ちゃんが反応する。
雪矢
……リンゴちゃん、ほっぺたいつも真っ赤っかだもんな、リンゴみたい☆
そう言って、子どもみたいに笑った。
あたしは、その笑顔にドキドキして雪矢くんから目が離せなかった。
神奈ちゃんは、一人で
神奈
雪矢も気づいてないってワケね…。手間がかかりそうだわ、この二人は…
と、何やら一人ため息をついていた。

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