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第19話

またふたり。
ーあなた…


ん…?


ーあなたっ…あなた!!


「っん…?」


急に現実に引き戻されたように体が重くなり、ゆっくりと目を開ける。


…あれ…?


私の目の前にあるのは右手に持ったホッチキス。


左頬の下には色とりどりのお花紙。


寝ぼけまなこのまま、2、3回瞬きをする。


えーっと…


ムクっと上半身を起こすと、私が座っているのは教室の自分の席だった。


机に置かれた私のスマホが光を反射させていて眩しい。


窓の方に目をやると、輝く夕日がもう沈むところだった。


週明けの月曜日、部活のない放課後。


そうだ、私、文化祭の準備…。


クラスでやる縁日の教室内の装飾のために紙で花を作ることになってて、私は装飾係の長に選ばれてしまい…


今日、試しにいくつか作ってみようと思ってたんだった…。


どれくらいの枚数必要で、どれだけ貼れるのか確認したかったし…。


でも途中で寝ちゃったんだ、私…。


「はぁ…」


私の右隣の机に置いた、作った花を入れるための箱。


中を覗くと、入っている花は3つ。


手に持ってるのを合わせて4つ…。


やばい、ノルマ50個とか思ってたけど今日は無理だろうな…。


黒板の上にかかっている時計を見ると、6時35分。


あ、そろそろ帰んなきゃなぁ…。


ん…?


6時…35分…?


「っえ!?」


もう完全下校時刻過ぎてんじゃん!!!


ウソっ!?


って…鍵、締められてたり…しないよね…?


「あなたっ!!!」


ビクッ!?


いきなり私の名前が聞こえて驚きのあまり肩が上がる。


後ろ…?


そぉーっと振り返ると、スーツ姿の先生が後ろの壁に寄りかかっている。


「な、成宮先生!?」


私は立っていた先生の名前を叫んだ。


…なんか、最近こんなこと多い…。


冷静にそんなことを一瞬思えた自分にも驚きを覚えるが、それよりも、なんでここに成宮先生がいるのかという驚きの方が大きい。


ほんとに、なんで!?


あんまり会いたくなかったのに…っ。


「ったく、いつまで寝てんだよ。」


先生は頭をガシガシと掻いて、机と机のあいだを歩いてくる。


「えっ…?」


「“えっ”…じゃないよ、何回起こしたと思ってんだよー…」


「あ…」


そっか、私の名前を呼んでたのは先生だったんだ…


「ほら、荷物片付けろー。

帰るぞ。」


「あ、はいっ…え?」


“帰れ”じゃなくて“帰るぞ”?


言葉のあやにドキッとする。


腕を組んで私の前の机に座った先生はため息をついて言った。


「完全下校過ぎても学校の許可なく残ってる生徒は迎えに来てもらうか先生が送ってかなきゃいけないんだよ…

まぁ、あなたの家、ここから割と近いし、親御さんに来てもらうのは申し訳ないから送ってってやるよ。」


えっ…。


そーなの?


先生が…私を…?


急に心臓がうるさく鳴り出す。


“先生と話したくない”なんて思いは私の中から消えていた。


私は急いでカバンを持って先生と一緒に学校を出る。


…私、先生の車に…!