前の話
一覧へ
次の話

第15話

エピローグ
138
2018/01/09 12:16 更新
私と晴貴は縁側に座り、庭を眺めながら話をしていた。
晴貴は晴明の生まれ変わりで、晴明の記憶を共有していて、私がタイムスリップすることも知っていたという。

「なんで、教えてくれなかったの?」

「未来のことはわかるわけないだろ。」

私はため息をついた。
今まではただの幼なじみであまり意識していなかったけれど、晴明の生まれ変わりな上に好きとまで言われてしまっては、少し緊張してしまう。
横目で晴貴を見る。
庭を眺める晴貴の横顔に、晴明の面影が重なる。

「…晴貴。」

「ん?」

「…晴明はあの後、大丈夫だった?」

「ああ。大丈夫だよ。ちゃんと回復して、天寿を全うした。」

「そっか…。」

その時、涙が頬を伝ってこぼれ落ちた。
晴貴は涙を流す私に気づいて、ぎょっとする。

「何泣いてんだ。」

「わかんないけど、泣けてきた。」

晴貴が指で涙を拭う。
視線がぶつかる。

「…晴明は、椿がもとの時代に帰ってからも、ずっと椿のことを想ってた。」

その言葉を聞いて、さらに涙が溢れる。
わけがわからない晴貴は慌てふためく。

「だから、なんで泣くんだ。」

「だって、今の言葉は嬉しくて…。」

晴貴はため息をつくと、顔を唇が触れそうなくらいに近づけた。

「あのさぁ!」

「ち、近いって!」

顔を離そうと伸ばした手は、あっさりと掴まれ、身動きが取れなくなる。

「晴明のこと好きなのは構わないけど、俺もお前のこと好きだってこと、忘れるなよ?」

「わ、わかってます。もう少し、時間ちょうだい…。」

真っ赤になってしまった顔を俯ける。
上目遣いでちらっと見た晴貴は、晴明によく似た顔で、無邪気に笑っていた。
私の恋物語は、まだ始まったばかり。

プリ小説オーディオドラマ