私と晴貴は縁側に座り、庭を眺めながら話をしていた。
晴貴は晴明の生まれ変わりで、晴明の記憶を共有していて、私がタイムスリップすることも知っていたという。
「なんで、教えてくれなかったの?」
「未来のことはわかるわけないだろ。」
私はため息をついた。
今まではただの幼なじみであまり意識していなかったけれど、晴明の生まれ変わりな上に好きとまで言われてしまっては、少し緊張してしまう。
横目で晴貴を見る。
庭を眺める晴貴の横顔に、晴明の面影が重なる。
「…晴貴。」
「ん?」
「…晴明はあの後、大丈夫だった?」
「ああ。大丈夫だよ。ちゃんと回復して、天寿を全うした。」
「そっか…。」
その時、涙が頬を伝ってこぼれ落ちた。
晴貴は涙を流す私に気づいて、ぎょっとする。
「何泣いてんだ。」
「わかんないけど、泣けてきた。」
晴貴が指で涙を拭う。
視線がぶつかる。
「…晴明は、椿がもとの時代に帰ってからも、ずっと椿のことを想ってた。」
その言葉を聞いて、さらに涙が溢れる。
わけがわからない晴貴は慌てふためく。
「だから、なんで泣くんだ。」
「だって、今の言葉は嬉しくて…。」
晴貴はため息をつくと、顔を唇が触れそうなくらいに近づけた。
「あのさぁ!」
「ち、近いって!」
顔を離そうと伸ばした手は、あっさりと掴まれ、身動きが取れなくなる。
「晴明のこと好きなのは構わないけど、俺もお前のこと好きだってこと、忘れるなよ?」
「わ、わかってます。もう少し、時間ちょうだい…。」
真っ赤になってしまった顔を俯ける。
上目遣いでちらっと見た晴貴は、晴明によく似た顔で、無邪気に笑っていた。
私の恋物語は、まだ始まったばかり。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。