第2話

太平洋戦争のページ
355
2017/12/28 04:44
あなた

予習、しなきゃなァ...

外はすっかり暗くなり、

今はつかの間の静けさを味わう事が出来る。


見つけたノートをパラパラと捲りながらそう呟いた私は、あるページで固まった。



それは、太平洋戦争についてのページ。



見慣れたノート、見慣れた文字の中に、

見慣れない文字が並んでいたからである。
あなた

...え?

日本語だ。でも。

なんて読みにくいンだろう。


カタカナと漢字だけで彩られたその文章を、

私はゆっくり読み上げた。
あなた

えっと...嘘、だ...?

いきなり否定されて、少しムッとする。
あなた

そ、んな事は...有り得、ない。

小さく呟きながら、やっとの事で読み終える。

そこに記されて居たのは、嫌悪。



『嘘だ。日本は戦争に勝っている。

皆そう言っている。

ここに書かれた事は全て嘘だ。

そんな事は有り得ない。

天皇陛下が嘘をおっしゃるわけがない。

日本は負けない。日本は正しい。

お前は非国民だ。』


あなた

何よ、これ...

子供が喚いているようだ。

実際、日本はアメリカに負けているじゃないか。

そんなの、小学生でも知ってる。

非国民だが何だが知らないが、
人のノートにこんな落書きをするなんて。
あなた

嫌な奴!

そのページを、びりっと破いて捨てた。

酷く気分が悪い。

明日、ノートを見つけた神社に行ってみよう。
もしかしたら、犯人がいるかもしれないから。

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