次の日。
私は、もし手術が成功したら先輩と同居しなければならないので、部屋を急いで掃除していた。
すると、携帯からLINEの通知音が聞こえた。画面をみると大我先輩からだった。
───LINEにて───
急いで掃除を切り上げ、部屋から飛び出た。
今日が大我先輩の最後かもしれないから、手術前に顔を見たい。
昨日から色々展開が早すぎてある意味ついていけていない自分がいるけれど...
病院につき、302号室に入るとそこは一人部屋だった。
そして布団のなかで大我先輩がうずくまっていた。
先輩の両親も昨日あんなに怒っていたのにいなかった。
おそらく、最後にかっこ悪い姿を見せたくないのだろう。
先輩布団から顔を出したかと思うとこちらを向いて両目を薄くつむった
大我先輩はにっこり笑うと「そうだった」と言って布団の中から1通の手紙を取り出した。
先輩は恥ずかしそうに私の手をとり、手紙を手に握らせた。
その手は少し震えているような気がした。
私はもらった手紙をバックの中に入れた。
後ろを向き、帰ろうとしたとたん、動けないはずの大我先輩が立ち上がり、私の腕を掴んだ。
私は振り返った。
素直に目を閉じた。
すると私の唇になにかが重なった。
何が起きたかわからず、目を開くと重なっていたのは大我先輩の唇だった。
どうすればいいかわからず、再び目を閉じ、そのままにしておくと、しばらく経って唇が離れた。
大我先輩はなにかを言っていたが途中でさえきって病室から飛び出した。
顔が燃えそうなぐらい熱くなった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。