第51話

誰が負けたと仰いました?
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2018/01/31 08:57
真伊島勇気
はい…
弱々しい返事がポツリとひびく。
誇町
3番!
誇町がプリントの裏に丸三と書く。
真伊島勇気
何で俺が…島ノ瀬なんかに…
視線が真伊島に向く。
緩成
勝ちは勝ちだ。
真伊島勇気
──いや、あの1年。
真伊島の目は珠咲に向いた。
真伊島勇気
あいつが、俺らの答えを見ていた…
ルール違反だ!!
会場がざわつく。
千樹
((珠咲ちゃん!))
千樹がそう声を出そうとしたとき、珠咲は席から立ち上がり、髪を下ろし、真伊島の前に立ち、人差し指を口に、親指と中指、薬指、小指を輪郭に沿ってそっと当てた。

やばいと思ったのか珠由と珠広が珠咲に駆け寄ろうとするが珠早が止めた。

京はクスクスと笑っている。
珠咲(すざく)
真伊島さん?ですよね。
真伊島勇気
あぁ、そうだ!!
珠咲(すざく)
なんとまあ、往生際の悪いこと。
その勇気がどこから湧いてくるのか
尋ねてみたいわ。
珠咲(すざく)
でも、そんなものに私は
興味なくてよ?

貴方は自分の恥は
私のせいと言いたいわけですか?
真伊島勇気
ああそうだ!!
お前ら島ノ瀬なんかな!
大会に出る資格すらねぇんだよ!!
成り上がりの珠算部がァァァァア!!
息を切らした真伊島に珠咲は笑う。
珠咲(すざく)
ふふ、ふふふ…
真伊島勇気
何が面白い。
お腹を抱えながら涙が出るほど笑っている。
珠咲(すざく)
貴方は本当の阿呆ですねww
真伊島勇気
は?
珠咲(すざく)
“誰が負けたと仰いました?”

島ノ瀬?水野宮?先生方?
真伊島の顔が蒼白になる。
冷や汗が額からたれている。

珠咲は真顔になりとどめの一言を言った。
珠咲(すざく)
負け《地を這う者》を決めるのは
本番《最高のステージ》でしょう?
真伊島の顔はますます青ざめていった。

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