第30話

#ㅤ29
412
2024/04/21 00:38


































































🍍ㅤ.
( カキカキ 



🍍ㅤ.
 う〜、描けたっ!!( バッ 


__ ,
 あら〜、上手よ!なっちゃん! 

🍍ㅤ.
 へへっ、俺、画家になりゅっ…!( ニコッ 

__ ,
 なっちゃんならなれるわ、きっと…!( ニコッ 











俺は…
物心ついた時から、絵を描くのが好きだった
両親、担任の先生、周りは皆んな、優しい人達だった
俺の背中を押してくれる、大きな原動力だった












































__ ,
 なつは何入んの?やっぱ美術部? 

🍍ㅤ.
 ん〜…そう、だな〜… 



中学生になった
美術部に入り、本格的に画家を志した
最初の内は、勿論『 希望 』でいっぱいだった











__ ,
 中々、伸びしろのある絵ですね、( ニコッ 







プロになるための道は、そう単純では無い
それは、当たり前に覚悟していた
本物のプロに指摘され、教わり、
藁にも縋る思いで、必死に、ただがむしゃらに、
絵を、大好きな絵を、描き続けた
































































































































ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ“ㅤただ、絵が上手くなりたいㅤ”



















































































































それだけ、それだけだったのに 。
















🍍ㅤ.
 ( 周りのグラデーション… 
もうちょい灰色を強調させた方がいいか… )
🍍ㅤ.
( カキカキ 




























































































✎___ 30分後












__ ,
 はい、今日の所は以上です 
お疲れ様でした、片付けは素早くね





all .
 はーい 

















🍍ㅤ.
 ( ふぅ…一通りは描けた筈っ…、 ) 








片付けるかぁ…


🍍ㅤ.
( カチャカチャ 






















































































__ ,
 やば、この絵下手すぎね…?w 

__ ,
 それな、タッチ荒いし、w 







🍍ㅤ.
 ( うっわ…めっちゃイチャモン付けられてる、 
かわいそ〜… )






































__ ,
 “ㅤなつㅤ”って奴の絵だろ?確か… 

__ ,
 あ〜…あいつな、筆の使い方へったくそだもんな、( 笑 














🍍ㅤ.
 …! 











__ ,
 先生もよく見捨てないよな、器でけぇよまじ 

__ ,
 ほら、才能ある奴程厳しくするっていうだろ? 

__ ,
 あーね?( 笑 






































































🍍ㅤ.

その日から、絵を描くのが怖くなった
誰かに酷評されるのが怖くて、筆先が震えるようになった
































































































































__ ,
 いとまさん、集中出来ていませんよ 
タッチが以前より雑になっていませんか?


🍍ㅤ.
 すいません… 


__ ,
 絵を描く時は、余計な物事を考えてはいけません 

🍍ㅤ.
 …分かってます 










































































































__ ,
 美術部の顧問を勤めます、__ です 
宜しくお願いします





高校生になった
半ば不安を抱えながら、美術部に入った
やっぱり、絵を諦める事は出来なかった
俺には、『 絵 』しか残されていないから、
















































































































































__ ,
 …影の陰影が歪ですね、30点 



🍍ㅤ.
 30、点…? 







画家への道の厳しさを知った
これだけ人生を掛けても、結局は30点に過ぎないのだと











































































































━━━━━━━━━━━━━━━
ㅤㅤ暇 なつㅤ___参加賞
━━━━━━━━━━━━━━━










🍍ㅤ.
 はっ…? 




どれだけ、




どれだけ必死に足掻いたって、無駄だった



指中にタコが出来るまで描き続けた


キャンバスにしがみついて、パレットを握り続けた










飯も、遊びも、何もかも捨てて、描き続けた
なのに…



















































































































































__ ,
 こいつの絵、下手だよな〜… 

__ ,
 何も感じないんだよな、この絵 












ここまで頑張っても、駄目なのか…ッ













__ ,
 暇さん、お話しがあります 


🍍ㅤ.
 、はい…? 





































































































































__ ,
 単刀直入に言います __ 

































































































































































































































__ ,
 貴方には、絵“ㅤ以外ㅤ”の道を進む事を推奨します 








🍍ㅤ.
 は…? 


__ ,
 此処まで、私も全力で指導してきました 
__ ,
 が、… 
伸びしろが、思うように感じられません










🍍ㅤ.
 そ、ですか…ッ 


__ ,
 貴方の努力、強い思いは、とても理解しています 


🍍ㅤ.


__ ,
 ですが、人には“ㅤ向き、不向きㅤ”があります 

🍍ㅤ.
 …! 


__ ,
 これは、貴方の為の助言です 
よく考えて下さい














































































































































































































































































































































































































































































































































































🍍ㅤ.
 くそがッッ … !! ( ドンッ 



なんで、なんでだよ…ッ








誰も、誰も認めてくれやしねぇ…ッ













































































__ ,
 あら、美術部辞めちゃうの…? 

🍍ㅤ.
 …あぁ、もういいんだ 

__ ,
 どうして?あんなに一生懸命だったじゃない…? 


🍍ㅤ.
 …俺には、最初から才能なんて無かったんだよ 


__ ,
 そう… 








__ ,
 ただいま〜 


__ ,
 あら、おかえりなさい 

🍍ㅤ.


__ ,
 どうした…?元気が無いようだが、 

__ ,
 なつ、美術部辞めちゃうんだって 










__ ,
 …遂に折れたか、 



__ ,
 ちょっと…!なんて事いうの…! 


__ ,
 絵の道は楽じゃない、何度もそう言った筈だ 












🍍ㅤ.
 っ…! 



父は、名画家だった
絵だけで食っていける程の腕の持ち主だ





































































































































































































































__ ,
 “ㅤまぁ、才覚が無かったって事だㅤ” 








俺は、思わず家を飛び出した













































































































































































































































🍍ㅤ.
 ( あれ、此処…は… ) 

気が付くと、やけに消毒臭く、清潔感のある場所に居た
病院だ 。









__ ,
 …貴方は、トラックに轢かれたのよ 


🍍ㅤ.
トラ、ック、 









退院したとて、全く嬉しくなど無かった
どうせなら、死んだ方がマシだった
こーゆうのは、轢かれて生き残るのが1番ダサい
いっその事、小説の世界みたいに、記憶喪失になってみたい
何もかも忘れて、愛されたい










いつからだろう、承認欲求の塊になってしまったのは _


















































































































































































🍍ㅤ.
 さーて、退部の準備でもするかっ… 

大好きだったパレットも、
お小遣いを貯めて買ったキャンバスも、
使い切ってよれよれになった絵の具も、










全て捨てた   。






























































































































































🍍ㅤ.
 …こんなもんでいっか、 






静かな教室を出て行こうとした、その時…












































































ズ キ ッ 





🍍ㅤ.
 ぐぁ”ッ” !? ( フラッ 


急な痛みと、倦怠感が襲った




🍍ㅤ.
 ハァッハァッ…ぐ…ッ 、あ”ぁ”ッ” … !! ( 倒 




苦しさのあまり、その場に倒れた
息苦しく、立っていられ無い





🍍ㅤ.
 ( 油断してた…アレ・ㅤ・が…ッ ) 

それは、幼少期から患っている、“ㅤ心不全ㅤ”だ
急性心不全が、こうして、稀に襲い掛かる





🍍ㅤ.
 あ”ぁ”ッ” … !? ( 踠 

勿論、教室には誰も居ない
何時だって、俺は独りぼっちだ





🍍ㅤ.
 ハァッ…ハァッ… 


神様なんて居やしない
俺に何も与えなかった
俺が何時、何かしたかよ…ッ
誰も認めてくれない
誰も助けてくれない
誰も、誰も……ッ





















































































































































































































































ㅤㅤㅤㅤ“ㅤ俺は、何の為に生まれてきたんだㅤ”










霰 。
霰 。
 聞いて下さい…一昨日、授業参観で… 


MOB .
 あ、ちょっと霰さんのお母さん! 
⤴︎︎︎ 我の好きなY先生

MOB .
 はい…? 
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ⤴︎︎︎ 母

MOB .
 霰さんにいつもお世話になってます〜 

MOB .
 ??? 

MOB .
 いつも学校くそだりぃな〜って思ってても、 
霰さんが面白くて励みになるんですよ〜(

MOB .
 は、はぁ… 

霰 。
霰 。
 我はお笑いをしてる訳では無いぞ!?( 



MOB .
 あ、ちょっと霰さんのお母さん〜 
⤴︎︎︎ 学年一の美人生徒の母

MOB .
 お〜!お久しぶりです〜 
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ⤴︎︎︎ 母

MOB .
 いや〜娘がね? 
霰さんとクラス違って残念だって、

MOB .
 えぇ〜?なんで…?( 笑 

MOB .
 「 霰は面白いから! 」だって、( 笑 

MOB .
 ( あいつ学校でどんな生活してるの…( ) 

霰 。
霰 。
 我は普通に生きてるだけだぞ!?( 


MOB .
 もうあんた、 
小説家じゃ無くてお笑い芸人なったら…?
⤴︎︎︎ 母

霰 。
霰 。
 絶対やだ(( 




霰 。
霰 。
 そんなに面白いんですかね…?( 笑 




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