午後。
俺らは昼食を食べた後に病院に向かった。
すると、霊夜がおもむろにお札を取り出して何かを唱え始めた。
お札って、便利なんだな…。
そして、霊夜が結界に入るための呪文みたいなのを唱えて結界の中に入る。
え、え!?
アイツら3人は割と経験者っぽいけど…俺、居ても良いんかな??
ちょっと不安になって来た。
そんなことを話しながら237号室の方に向かい、思いっきりドアを開けた。
そこには……
病室であるはずの空間は禍々しくてポップで可愛らしい、病院の中とは思えない空間が広がっていて、可愛らしいテディベアの姿を模した悪霊と、それめがけて長い茶髪を靡かせてなんか細長い銃を撃ってはポイと捨てている女性がいた。
しかも、周囲には他にも同じ形の細長い銃が持ち手であろう場所が上になり、銃口が地面に突き刺さってるかのような状態で。
あれ?よく見ると俺らと同じ高校の制服じゃね??
そう思っていると…
と、ルキアが呟いた。
アイツが噂の江村さんなのか…。
そう思っていたら、霊夜が慌てたような表情に早変わりして、
脳って、ハイリスクハイリターンなんだ、想像力が豊かであれば、知識が豊富であれば、どんな武器も戦い方も出来るってことだし。
ただ、契約切った時に機能が失われるってことなら脳死又は死だし、俺全然想像力ねーし…。俺、契約したのが拳で良かったかもしれない。
マジで今の今までそれ忘れてた。2ヶ月前のことだったしそれ知ったの。
俺と類が意気消沈?していると、
というルキアの声が。
戦ってた同じ高校の制服のヤツを見てみると、多分何かしらで撃ち落としたであろうクマのぬいぐるみを容赦なく鋭利な刃物で腹を切り裂いている瞬間が目に入った。
これ、いけるくね?
俺がそう思ったけど、霊夜はレンズ越しの警戒した目を変えず
いつものふわふわとした感じの喋り方では無く、いつにも増してしっかりとした声音で俺らに指示を出した。
案の定、本体であろうなんかぶつぶつとした模様のヤツがクマの腹の中から出てきた。
ファンシーな見た目のヤツからグロテスクなの出て来たなー……とか思っていたら、本体は同じ高校の制服のヤツを見つけ、そいつ目掛けて大きな口を開けて飛んで行った。多分、食べるつもりなのだろう…え!?悪霊って人食べんのか!?
俺もだけど、多分同じ高校のヤツも「あ、これ終わった」とか思っていたであろう矢先、左目が赤くなった類が武器となる弓と矢を構えて駆けながら本体に向けて矢を放った。
放った矢の軌道は走っていた影響でブレていたはずだけど、ルキアと同じ「狙撃手の眼」の力によって物理法則とやらを無視した軌道を見せ、しっかりと本体の頭部を貫いた。
頭部を再生しているであろう本体に背を向けて、全速力で同じ高校のヤツの手を引きながら俺らのいる場所に走って類が戻って来た。
危機一髪、と言った所だろうか。
息を切らせながらそう言う同じ高校のヤツは、ハッとした後、深々とお辞儀をしながら
と、軽く自己紹介をした。
いや、のぞみの声透明すぎね!?
そんなことは今はどうでも良い。
今は目の前の本体を俺らでぶっ倒すだけだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。