【莉犬side】
あれから3時間。
日付が変わって、午前2時を回っても。
彼女は、帰って来なかった。
たまらず、璃夢と唯一会った事がある
メンバー達に連絡を入れるが。
何やら気になる発言が2つ。
即座に個人トークに飛んで、詳しく話を聞く。
るぅとくんの話は、こうだった。
あまりにも現実味の帯びた話に、独り言が零れる。
納得してしまうような、悔しいような、そんな気持ち。
ありがとう、と返してから。
ジェルくんとのトークルームに向かう。
並んで居た文字に、小さく目を見開いて。
驚きを、そのまま文字にして返信すると。
どうやら、秘密にして欲しいと頼まれて居たようだった。
すぐに送信取消されたが、見てしまったからには仕方ない。
自分が何をしてしまったのか自覚したから。
その優しさを、先走った誤解で踏みにじり。
ジェルくんと、るぅとくんの事を疑ってしまった過ちを。
後悔に、目をキツく閉じて。
トークを終えたスマホをベッドに放り投げ、腕で目を覆う。
部屋に染みつく彼女の匂いが鼻に突いた。
行き先も話も聞くこと無く追い出してしまったから。
どこに居るかの心当たりが、全く無い。
こういう時、彼女が何処に行くのかの検討すら付かない。
『出てって。璃夢と話す気、今は無いから』
『.........っ分かっ、た』
途方に暮れた、その時。
高校時代、彼女の口から良く聞いた名前。
その名前が、スマホの画面に映し出されて。
あの子なら何か知って居る。...そんな謎の確信が。
今の俺の中には、あった。


















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!