第17話

君の声
857
2021/10/27 08:24
お茶子ちゃんが核兵器に触れ、
オールマイトの終了の合図とともに
一回戦目の戦闘訓練は終わりを告げた。


その後大怪我の出久くんは保健室に運ばれ
講評、反省をするため
みんなモニタールームへと戻るのだが…



(やばい……かも…)



頭がクラクラする

立っていられないほどじゃないけど
足取りがおぼつかない。


モニタールームに向かうため
5階フロアから戻ろうとしたら、
無言でどこか一点を見つめて
立ち止まっている爆豪くんがいた。

後ろ姿からでも伝わってくる強い感情
私はフラフラする体を
足でしっかり支えてから爆豪くんに話しかける。


『爆豪くん。みんなもう行っちゃったよ、行こ?』

「………」


(あれ、聞こえてない…?)


『爆豪くん?…爆豪くんてば!!!』

「あ゛…?あぁ、テメェか…」


振り返ったその顔は、
ただ負けて悔しいってだけの表情じゃなかった

悔しさなのか、怒りなのか、悲しさなのか、
とにかく否定的な感情で溢れている。

大丈夫?と声をかけようとしたけど、
彼はきっとそんな言葉は求めてない。



『…爆豪くんが何を抱えてるのかは分かんないけどさ、ヒーローがそんな顔してちゃダメだよ』

「………うるせぇ」

『ほら、早く戻ろう?』




(あ…まずい…)




一方踏み出すとふらふらした足取りのせいで
崩れて散らばっている破片に躓いて
大勢を崩してしまった。

そのまま目の前の地面に向かって一直線。

咄嗟に個性使って防ぐ
なんて考えは微塵もなかった。




「っあなた!!」




(あれ…?わたし、転んでない)


よく見ると爆豪くんが後ろから
お腹に手を回して私の体を支えてくれていた。






−爆豪side−


右、デクは読んでた。
読んだ上で訓練に勝つ算段を…

(そりゃつまり…ガチでやり合っても俺完全に、デクに……)




『爆豪くん?…爆豪くんてば!!!』




「あ゛…?あぁ、テメェか…」


どうしようもない感情がふつふつと
湧き上がってきておかしくなりそうだった

そんな時あなたに名前を呼ばれ、
とたんに俺の中で駆け巡っていた感情は
少し収まるような気がした。

なんでこいつの声が聞こえた途端に
心が楽になるんだ

屋上の時だってそうだ。
歌声を聴いているだけで、
負の感情はどこかへ行ってしまった。



『ほら、早く戻ろう?』



そう言ったあなたはふらふらと歩き出す。


「っあなた!」


その後ろ姿を眺めていた俺は
考える間もなく動いていた。

床に転がっている建物の破片に躓いて
転びかけたあなたを後ろから
腕で支えて重心が俺の方へくるようにした



「おい、大丈夫か」

『ご、ごめんありがと…』



(こいつなんでこんなふらふらしてんだ?)



あなたの顔をよく見ると
顔色もあまり良くないように見える。


『…今、初めて名前呼んでくれたね』


(…は?今それ言うかよ。)



体調悪いのかと思えば
いきなり訳のわからないことを言ってくる。

でも、無意識だった。

躓いたあなたを支えようと
手を差し出したのも、
彼女の名前を呼んだのも。

あなたは嬉しそうに俺の方を見てきやがる


(…なんか調子狂う)


「……んなことどーでもいいんだよ‼︎てめぇはまず自分の体調を心配しろ!」


『あ…はい、ごもっともです…』


これはモニタールームに向かう途中に聞いた話だが
あなたは暑さにものすごく弱いらしい。

空気があったまっていた建物の中に
長時間いたために
こんなふらふらになっていたと。





















※夢主の設定ごっちゃになってるのでこのページで少しまとめます

なんでこれこうなってんの??みたいな疑問がなければ
読まなくてもとくに支障はないので読むの面倒臭いって方は飛ばしてもらって構わないです




【何で個性を使うのが怖いのか】
__________昔個性が制御できなくった事があるから

【歌で治癒する力は普通に使ってるのは何故か】
__________暴走した時に使っていた個性が水を操る力だったから。歌は暴走しているとわかった時点で歌うのをやめれば止まるし、歌の治癒を普段使っている時は戦闘中ではないので比較的心が安定しているため

【どうして歌で治癒できることをあまり人に言いたくないのか】
__________歌うだけで治癒できると言うのはかなりの強個性で(後々また新たな情報出てくる)あまり広めるとヴィランに狙われる可能性があるからヒーロー達からも周りにはなるべく広めないように言われている。

【昔は無理やりヒーローの道へ進まされて、ヒーローになれると言われ続けてきたのになぜ初めはこんな私がヒーローになってもいいのかな…?と思っていたのか】
___________昔は個性が暴走してからもう個性を使いたくなかったのにヒーローへの道を進まされた。仮免も手に入れた。けど個性の暴走で人に被害を与えた過去があってこんな私がヒーローなんかになっていいのか、と思うようになった。そんな時に出久と出会って少し考えが変わるようになって、自分の意思でちゃんとヒーローを目指すと決めた

【仮免持ってるしヒーロー免許取る実力もあるのに雄英入るの?】
___________教師が彼女を推薦したのは保護するため、監視するため。ヴィラン側に行ってしまうのを恐れてなるべく目の届く場所で監視しておきたかったのが一つ。もうひとつは授業を通して個性の制御を完全にできるようにするため。あとは高校卒業の資格を取るため。

【歌って治癒とは具体的に】
___________傷が治る。心の傷も癒える。彼女が歌うと否定的な感情とかイラついていた感情も少し収まる。
【歌わなくても声だけでも心癒えるの?】
___________誰かを心配して声をかけた時、助けたいなどの必死な気持ちで声をかけた時は多分無意識で個性が発動してるんだと思います。

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