現在、翔太と喧嘩中。
事の発端はバラエティで共演した人に
可愛い可愛いなどと言って
三分でダンスを覚えて踊れたら
連絡先を交換してくださいなんて言うから。
いや、わかる。バラエティだし
場を盛り上げようとしているのは…。
でも普段、付き合っている私に
可愛いなんてなかなか言わないし、
ましてやあんなに鼻の下を伸ばしたりもない。
やっぱり同じ業界の人の方が良いのかななんて
考えてしまって、それでも認めたくないから
翔太にいつもは求めたりしないのに
言葉を求めてしまった。
それが彼にとってしつこかったのだろう。
怒らせてしまったのだ。
そして、私も私で不安になってるところに
言葉にしてくれない翔太に
さらに不安になり、機嫌が悪くなってしまい
会話をせずに各々の部屋に引きこもっている。
なんてひとり虚しく呟けば
否定する人もいないから余計心臓を掴まれたかのように
ぎゅーっと苦しくなる。
愛されているのかもわからなくなった今、
翔太は惰性で付き合ってくれているのかなどと
考えたら、ドツボにはまってしまうわけで。
今は翔太にとって大切な時期。
私と付き合っていることがバレ、
スキャンダルなんてことになれば
芸能界という不安定な世界はあっという間に
翔太を見放す可能性もある。
身を引いたほうがいいのかななんて
やっぱり考えてしまうのだ。
付き合った当初、それで沢山悩んで
メンバーやマネージャーから止められると思った。
しかし、意に反してみんな肯定してくれたのだ。
このまま、家にいても良くない考えしか出てこないから
誰もいない部屋で呟き、支度をして家を出た。
渡辺翔太side
玄関が閉まる音がして、我に返った。
慌てて玄関に行けばあなたの靴が無い。
出ていった…。
帰ってこないかもしれない…。
普段は、俺優先で甘やかしてくれるあなた。
何故か今日は甘えてきて、愛情を言葉で欲しがった。
でも俺は言えなくて…。
恥ずかしいのと、言わなくてもわかんだろって
その気持ちが大きかった。
本当に大切な人には照れくさくて言えないものだ。
夜、あなたを抱く時はしっかり伝えてるし
伝わってるだろうとタカをくくっていたけれど
だんだんと機嫌が悪くなっていく彼女に対して
俺も機嫌が悪くなっていき、
もういいと部屋に入っていったあなたの横顔は
怒ってもいたけれど、悲しそうでもあった。

電話をかけるも繋がらないし
行先も分からなくて追いかけられない。
後悔だけが押し寄せる。
そこへガチャと音がしてドアが開く。
逃がすまいとあなたを抱きしめる。
あなたの手にはコンビニの袋があって
中にグミが入っている。
本気で好きなのに勘違いされて
別れに繋がる可能性があるなら
苦手だろうときちんと伝えたい。
俺の言葉に初め目を見開くと
嬉しそうな顔をして目に涙をためるあなた。
今まで我慢させてしまってたんだなと思う。
あなたは少し言いにくそうな顔をしながら口を開く。
あぁ、きっとバラエティでの俺を見て
モヤモヤしてしまったのか…。
あなたを抱き抱えると寝室へ連れていき
朝まで抱き潰し、翌日睡眠不足で
メンバーから突っ込まれるのだった。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。