…とうとう、この日が来てしまった、
今日は、将校殿と前に話していた海に行く日だ。
………自分の我儘に将校殿を付き合わせてしまって、申し訳ない気持ちに押し潰されそうになったが、この得体の知れない気持ち悪さは、どうにも消すことが出来ない、
────もう、諦めてこの気持ちを受け止めるしか無いのか、
そんな事を考えてた間にいつの間にやら隣町に着いていたようで、将校殿に、
「参謀、」
そう声を掛けられて、自分が思考の海に沈んでいたらしい事に気がついた。
僕は慌てて返事をした。
「っ!…は、はい、」
「…どうした、体調が悪いか?それとも、どこか痛むか?」
「いえ、大丈夫で、す」
…将校殿に余計な心配させてしまったな…
「そうか、だが、くれぐれも無理をするんじゃないぞ、」
「…はい」
その後は、将校殿の『少し、町を探索しないか、』と言う提案で、海まで少し、遠回りで歩いていった、
…将校殿と町を探索するのは、楽しくて、少し、暖かかったな、
「…着いた、な」
「…そう、です、ね」
夕日に照らされて、キラキラと輝く海は、想像以上で、
…………自分の最期は此処が良いだなんて、変な事まで考えてしまって、
…そこで、考える事をやめた。これ以上、考えると、また、将校殿に迷惑を掛けてしまう。
僕が、そう思っていると
「……なぁ、ルイ」
将校殿が僕のことを呼んだ、仕事で与えられる肩書きじゃなくて、本名、で…
…仕事でも優秀なはずの僕の頭は答えを導き出せ無かった、
これ以上考えていても仕方がないと思った僕は、将校殿の言葉に慌てて返事をした。
「っ…はい、」
「…『海が、綺麗ですね』」
僕は、その言葉の意味を理解した瞬間、ものすごく、嬉しくて、…でも、
────僕なんかが、釣り合うわけが無くて、考えたくは、無いけれど、将校殿には、もっと、お似合いの人がいるはずで、もしかしたら、勘違いかもしれなくて、
…そう思ってしまって、気がついたら、目から涙が流れていた。
僕がそのことに驚いていると、将校殿が僕の事を抱きしめてきた、
急な将校殿の行動にびっくりして、声も出さずに固まっていると、将校殿が、
「…ルイ、大丈夫だ。私は、絶対にルイのことを1人にしない、
………だから、そんな顔で泣くな、ルイ」
────そう、言ってくれた、
その言葉を聞いた瞬間、僕は泣き出してしまった、
…将校殿は、僕が泣き止むまで、ずっと、抱きしめて、『大丈夫、大丈夫だ』って、声を掛けてくれた、
その優しさに、また、泣きそうになったけれど、これ以上泣いてしまったら、迷惑になるから涙を堪えた。
「……しょう、こ、どの」
「!…どうしたんだ、ルイ、」
将校殿は、どこまでも優しくて、僕なんかの為に時間を割いてくれて、
僕は、将校殿のそんな所に────
────惚れて、しまったんだなって
1度、自覚してしまえば、この気持ちをとどめておくことは、できなくて、
秘めていた想いが、口から、こぼれ落ちていってしまった、
「……すき、です」
「!」
将校殿が、驚いているのがわかる、それでも、僕は、溢れる想いを、口にした、
「将校、殿の、ことがっ、好きなんですっ、
こんな、うら、ぎりもの、にも、やさ、しく、接して、くれ、て、
居場所を、あたえて、くれて、
っ、とう、てい、ぼ、く、なん、か、じゃ、つり、あわなくてっ、
でもっ…!あなたの、となりに、たって、いたくて…!
ずっと、くるしくてっ…!」
……そこまで、言った時、初めて、将校殿が、顔を、歪めていることに、気がついた、
「っぁ、ごめ、なさ「…ルイ」!」
「…釣り合わないことなど、あるものか、」
「ぇ…」
「私は、ルイに、何度も、助けてもらった、ルイに、色んなものを、与えてもらった、
…ルイが、居なければ、恋、なんて感情を、知ることすら無かっただろう、
……私に、返しきれないくらいのものを、与えておいて、釣り合わないわけがないだろう?」
…将校殿は、優しく、微笑んで、そう、告げてきた、
……本当に、眩しい人だな、
僕は、そう、思いながら、将校殿に、…告白の返事を告げた。
「…将校殿、」
「どうした?」
「────『泳いで、みますか?』」
「っ、!」
将校殿は一瞬、驚いた様な顔をして、その後、すぐに、
「ありがとう、ルイ、愛しているぞ」
笑顔で、そう言った、
だから、僕も、
「────僕も、愛して、いますよ」
笑顔で、そう告げた、













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。