「海、か?」
僕が放った言葉に対して将校殿はそう言った。
事の発端は、『将校殿、海に行きませんか?』と、僕が将校殿に問い掛けたからだった。
「…はい、」
僕がそう言葉を返すと将校殿は、
「急だな…。…どうして行きたいのかを聞いても良いか?」
そう、聞いてきた。
……くだらない理由だったから聞かれたくは無かっんだけどな、
「…よく、買い出しに行く店の店長さんと、少し、世間話をしまして…」
「あぁ、」
「その時に、海の話をしたんです。隣町にある海が、とても綺麗だと、
…話していた時の、店長さんの顔が本当に楽しそうで、
…私も見てみたく、なって、しまって…」
「だから、海に行きたい、と」
「はい…」
…将校殿は僕が海に行きたい理由を理解したようで、考え込んでいた。
『別に、行かなくて大丈夫だ』と告ようと思い、口を開いた…
が、どうやら将校殿の方が早かったらしい。
「分かった、今度の休日にでも行けないか調節しておく。」
気付いた時には先を越されていた。
そして、僕はその返答に驚きを隠せなかった。
「ぇ、ぁ…ど、どうしてですか?」
「む?、別にそれくらいの事なら私がついて行けば問題なかろう、」
「っ…それは、そう、です、け、ど…」
僕は1回、将校殿を裏切った。
が、今は将校殿の働きかけのおかげか、極刑を免れ、部下としてまた働いている。
だが、多少なりとも代償はつくわけで、将校殿の監視下の元で生活する事が僕に与えられた罰だ。
でも、僕の働きぶりが良かったのか、前よりかは監視が緩くなっている。
…裏切り者が、こんなにもいい待遇をされて良いのだろうか、
………素直に喜んでおいた方がいいのかもな、
「…いえ、ありがとうございます。」
「そうか、海に行くのを楽しみにしておくんだぞ」













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。